1.後任委員の紹介について
●後任委員の紹介
江種委員の後任として、和歌山大学システム 工学部教授井伊博行(いいひろゆき)氏 が紹介された。 |
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2.河川整備計画立案に向けての考え方について【環境編】
河川管理者から紀の川河川整備計画立案に向けての考え方【環境編】について説明があった。主 な内容は以下の通り。
- 河川景観
- 河川形状の連続性
- 土砂移動の連続性
- 生物の生息・生育の場
- 水環境(水環境)
- 環境対策
それらの説明に対する主な意見は以下の通り。
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- 現況の環境調査では、本川全体で見たときの評価がしずらい。どのように全体を評価するか考える必要がある。
・既存の調査資料の評価が先ず必要。その上で何が足りないか、補完する必要がある。
- 紀の川の環境は、行政上の管理区分も重要であるが、自然界において管理区分は関係がないの で、流域全体として考えることが重要である。
- 植生による水質浄化は、本当に効果があるのかモニタリングをすることが重要である。)
- 汚染物質が川に一度入ると取り出すのが困難であるため、川の水質を悪化させる負荷を減らす ことが重要である。
- 汚染源である窒素やリンを植物に吸収させた後は、河川の中から外へ持ち出すことが重要であ る。さらに、植物の管理を住民で実施できる仕組みを考える必要がある。
- 水質の浄化において、下流が問題であれば、色々な対策案を取り入れた方がいいのではないか。
- 水質を浄化するためには、窒素やリンを分解する微生物が必要とする酸素を水に溶け込ませるための流れが大事である。
- 大滝ダムの効果によって瀬切れがある程度解消するということであるが、土砂移動による瀬切れの効果はどのようなものか理解できない。
- 紀の川に最も相応しい河川環境は、単に今ある姿を残すだけでなく、ダイナミズムによって作り出される環境を保全するという視点も重要である。
・要因との関係が把握できるようにモニタリングを実施していきたい。
- 市民・流域住民が川に関心を持って集まり、川を監視する組織作りが必要。
・管理の一部を市民の方にお願いする案を提示させて頂いている。
- 紀の川の環境計画については、目標像を検討していかなければならない。
- 橋本から下流の植生状況は、昭和30年代とは全然違い、外来種が繁茂している。どの状態が良いのか議論する必要がある。
- 上下流を含めて市民の方と共に環境について考える必要がある。
・環境と言っても生物・植物・景観等の 分野に及ぶ。流域の皆さんで環境を考 えることは重要であり、その中で当整 備計画がそのスタートラインになれ ば良いと思う。
- 環境・治水・社会性・財政・安全など、 矛盾する点もあり色々な面から議論す る必要があるので幅を持って考えるべ きである。
- 外来種を敵視してきていたが、セイタカアワダチソウが夕日に映えて美しく思えた事があった。 植生も自然に任すのが良いのではないか。
→ニワウルシやニセアカシア等の外来種は高木化し、流下能力を阻害するほか、柳等の在来種 の生息域を脅かしており、それらの外来種を駆除するという意味である。
- 琵琶湖のように紀の川のヨシはボランティアで管理することがないのか。
- 琵琶湖の芦辺のように護岸を自然護岸にすることで鳥が戻れば、より良い自然環境が回復できるのではないか。
- 紀の川の汽水域では、底生動物としてカニが注目されているが、貝類の生息環境としても非常に重要である。
- カワウは貴重種になっているが、現在は数が増えて、アユ等の魚類を捕食し問題になっている。
・貴重種についてはレッドデータブックなどの文献から抽出したものであるが、紀の川にお いて重要であるかどうかについては、委員の方からも意見を聞いていきたい。
- 全国的に見て、いい魚道は見うけられない。紀の川大堰に設置された3つの魚道についても 同様である。
- 植生による水質改善は、広大な土地必要。生物にも優しいが、場所はあるのか。栗石による 接触浄化のシステムを使えばどうか。
3.河川整備計画立案に向けての考え方について【利水編】
河川管理者から紀の川河川整備計画立案に向けての考え方【利水編】について説明があった。
主な内容は以下の通り。
- 紀の川の利水対策の考え方
- 紀の川の現状と課題
- 紀の川の利水の目的
- 紀の川の利水の課題に対する具体的な内容
それらの説明に対する主な意見は以下の通り。
- 紀の川大堰が、本格運用しようとしているが、大阪府の利水権の状況が知りたい。大阪府から の撤退の話もある中、利水権を検証する必要がある。次回委員会までに和歌山県と大阪府との
金銭的なやりとりの資料を出してほしい。和歌山県・大阪府の協定書も出して欲しい。
・大阪府は、紀の川から1.6t/sを計画している。しかし、紀の川からどのような形で水を 持っていくのかは未定の状態。現在すぐ工事をして取水していくという段階ではない。現状
で変更は無い。
4.河川整備計画立案に向けての考え方について【維持管理・利用編】
河川管理者から紀の川河川整備計画立案に向けての考え方【維持管理・利用編】について説明が あった。主な内容は以下の通り。
- 堤防等の維持管理
- 河道内の維持管理
- ダム・堰の維持管理
- 河川利用
それらの説明に対する主な意見は以下の通り。
- 水質改善の観点から、水辺の植物を刈り取り、系外に持ち出す対策は実施しているのか。
・高水敷を占用している箇所は占用者が実施しているが、水際部の除草は実施していない。今 後は地域とコンセンサスの下、管理の仕組みを作りたい。
- 河川の維持管理は行政任せにするのではなく、住民参加型の維持管理が重要である。
- 不法投棄や不法係留の対策については限界があるため、法令の改正を河川管理者から強く提言 していかなければならない。
- 不法耕作対策後の高水敷利用としてグラウンドを造っているが、昆虫等の生き物にとっては悪 影響だと思う。
- 「地域住民の意見を聞いて」という発言がよくあるが、現在、地域住民の意見聴取はできてい るのか。
・これまでは、意見をもらう体制が不十分。今後、体制を構築していくことが必要。
5.意見聴取検討会(中間)報告
養父委員(意見聴取検討会座長代理)から意見聴取検討会について中間報告があった。主な内容 は以下の通り。
- 意見聴取検討会は、8月11日・27日と2回開催した。
- 前回(第16回)の流域委員会で議論された以下の3つカテゴリーを中心に検討している。
- 効果的な聴き方の方法
- 整備計画(原案)を案内する方法
- 整備計画(原案)を効果的に理解していただく方法
6.次回の開催内容について
次回の開催内容については、次のとおり。
- 次回開催日は11月中旬。
- 内容は「紀の川河川整備計画(素案)の提 示」「関係住民の意見の聴取方法について」。
- 開催場所は、和歌山市内。
7.大滝ダムの状況について
委員から、「大滝ダムについては、経過待ちであったが、どうなったのか。」という意見があり、 その回答として、紀の川ダム統合管理事務所長より「大滝ダムの状況について」説明があった。
説明の内容は以下のとおりである。
- 「大滝ダム白屋地区亀裂現象対策検討委員会」が8月1日に開催された。
- 地滑りの原因は、ダムの貯水であると回答を頂いている。
- 地滑りの規模、メカニズムが解明されていないため、引き続き計測を実施する。
- 現在の水位を維持するのは危険であるため、住民に説明を行った上で貯水位を一日当り50cm ずつ下げている。
- 現在も地滑りは収束していないと判断されている。
- 住民の安全確保が最優先事項であり、現在それらの対策を実施している。
8.一般傍聴者からの意見聴取
- 大滝ダムはいつから運用するのか。
・地滑り対策が完了するまで、運用はできない。今の段階では、いつから運用できるとは言え ないが、少なくとも今年度中の運用はあり得ない。
- 大滝ダムの運用時期が未定のまま、紀の川の整備計画は立てられないのではないか。
⇒紀の川の整備計画を決定するうえで、大滝ダムの運用は大きなウエイトを持っているが、整 備計画は今後20〜30年の対策を考えるので、それまでに大滝ダムが本格運用できるとい
う仮定で整備計画を立案しても良いと考えられる。
- 3年前の台風で発生した被害を放置している。河川管理者は現地を見ているのか。紀の川の水 量・水質をどうやって改善するか考えてほしい。きれいな水を得るため効果的な規制を考えて
欲しい。
⇒今後、水循環を考えていく必要がある。自治体を含め街づくり、地域づくりを考えなければ ならない。このようなことは、紀の川河川整備計画では取り入れられないので、原案とは別
に「未来に向けての提言」として付け加えて行きたい。
この議事骨子は、委員会終了後に速やかに審議内容が公開できる様に取りまとめたものです。従って、今後議事の詳録を作成する上において、修正等が加わることがありますが、その際は、ホームページ上で修正箇所等を明らかにした上で再掲載を行いますのでご了承下さい。 |
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次回、第18回紀の川流域委員会は、11月頃に和歌山市で開催される予定です。詳細は、決定次第ホームページに掲載します。
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