1.紀の川河川整備計画について(治水対策の課題と対応策)
河川管理者から紀の川河川整備計画(治水対策の課題と対応策)について説明があった。説明の内容は以下のとおり。 |
- これまでの流れ
- 治水対策メニューの方針
- 河川整備計画目標流量
- 量的安全度の向上
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それらの説明に対する主な意見は次のとおり。
- 橋本地区の河道掘削はどれくらいか。
→橋本地区はおおよそ40万m3。
- 岩出狭窄部が4万m3、藤崎狭窄部が86万m3、小田狭窄部が44万m3、橋本市域が40万m3、合計174万m3となるが、全て掘削するとして、掘削残土はどのように処分するのか。
→全てを同時に掘削するのは困難である。またこれらの掘削残土の処理方法については、今後の課題である。
- 掘削は時間がかかり搬出の問題もあるのでできるだけ減らした方が良い。自然流下により土砂を移動させる方が良いと思う。
- 大体何年くらいでこのメニューが完成するのか。
→これまでの治水整備の状況から類推すれば、30年間で3堰の改築は予算的にも時間的にも困難である。
- 例えば藤崎井堰を改修すると、下流への砂の伝わり方が変わり、水の流れも変化するので、その都度全体計画を見直さなければならないのではないか。
→土砂の移動に関しては計算方法が発達しているが予測が困難である。
- 土砂移動に伴い、生物がどういう変化をするか、環境全体としての変化の予測は困難である。
- 海岸では砂が少ないという問題もあり、環境面での多様性を確保する必要があるので、堰を改築して土砂を自然流下させるのは良い提案である。
- 174万m3の河床掘削を行うと、水質悪化に伴う魚類への影響が生じるので、掘削のみでの対策は問題がある。
- 土砂が海に流れ出ると、漁業に悪影響はおよぼさないか。
→昨今問題になっているのは、ダムにより海へ供給される砂が少なくなっていることである。土砂が海へ流出することを心配されているが、各堰にたまっている土砂が移動しても中間的な勾配に落ち着くのが一般的である。
- 掘削の対象となる土砂は利用可能な土質なのか。
→事業実施のための調査は行っていない。
- 整備途中で伊勢湾台風規模の洪水がくると、どこかが氾濫する。優先順位の考え方や防災面も含めて合意形成をどのように図るかを考える必要がある。
→優先度については委員の方からの意見をもとに考えたい。
- 整備局が考えているプログラム案を提示して委員会で議論してはいかがか。地元の要望があればそれを優先するのか。
→本日説明した6ブロックについてはプログラムは無い。優先順位などは委員会で議論して頂きたい。
- 既にある2、3年先の計画を提示して欲しい。
→現在行っている治水対策については説明させて頂く。
- 6ブロックを個々に計画を立てるのではなく、全体を見据えて計画を立てる必要がある。
- 今回提案した6ブロックを同時着手する案もあるが、とりあえずどこか優先順位を決め、個々に着手を行う考え方はいかがか。
- 何年間でどのような効果が得られるのか。どこから対策を行うと効果があるのかの手順を示す必要がある。
- 優先順位を決める方法として、まず岩出狭窄部の対策を検討し、上下流に与える影響を環境も含めて把握する必要がある。
- 被害額が大きく、効果が大きいところから優先順位を考えてはどうか。
- 各市町村の土地利用計画を尊重し、土地利用に規制を設ける等の方法も必要である。
- 今までの河川の特性を変化させるのが良いのか課題である。
- 岩出井堰を全面改築した時の影響は上流にも波及するはずであり、それらの影響を考えるとなんらかの基準を考える必要がある。そして、その効果の恩恵を受けない地区に対してどのような対策を講じるのか考える必要がある。
- 人の命が一番大事であるが、多様な自然環境の保全を考えた対策も必要であり、この点に関する整合性はどのように考えているのか。
→紀の川大堰で環境対策を行っているように、それぞれのメニューについても環境対策を考えていく必要がある。
- 環境も大切であるが、治水対策における開削は人の命を守るという観点から必要であり、必要最小限にとどめておくことが重要である。
- 今回の整備計画では全川で目標流量を流下させ、氾濫させないことを基準とする必要がある。
- 大滝ダムの2500m3/s一定量放流は30年後の姿である。大滝ダム下流では現在1200m3/sの流下能力しかないので、それ以上放流したら氾濫することになる。そのためにも当面、氾濫しても破堤しない堤防の強化を図る必要がある。氾濫量を少なくして被害を少なくすることも必要である。
- 遊水地は、環境面からメニューとして残しておけば良いと思うが、治水面での費用対効果が低いので治水対策としては困難である。
- この流域委員会では治水に対する考え方を提案していくという観点から、工法などの治水対策に対する方向性を提案しなければならない。
- 堤防の嵩上げだけではなく堤防の補強も考えてはいかがか。
- ダムを造らない理念は理解できるが、洪水から人命を守るという観点から地元要望とは合致しないと思う。
- 整備計画にはダムは載せないということで、ダム案は提示していないが、大滝ダム等、大きく洪水調節機能を果たしている事業については、どのように活かすかを考える事が大切である。
- 河川審議会の最後の答申にあった氾濫域の活用の理念が反映できていない。発想の転換が必要である。経済性だけでの判断はやめるべき。
→本委員会で2000年に河川審議会が出した答申は説明したが、解釈に齟齬があると思われる。相野谷川等の河川と紀の川では事情が大きく異なる。
- 掘削による対策は土砂移動を考えるとエンドレスな対策となる。利水の容量そのものが減っており、掘削を減らす手法としてため池などを利用することも考えてはどうか。
- 発想の転換は非常に大事だと思うが人の命を預かっている事を考えると、何万人もの治水安全度を効率的に高める必要がある。
- 対象洪水より大きな洪水が起きた時にも甚大な被害がでないような安全策をとっておかなければならない。その点で堤防強化は意味がある。
2.第5回紀の川流域委員会勉強会の報告
養父委員から第5回紀の川流域委員会勉強会について説明があった。
主な内容は次のとおり。
- 飽和雨量について
- 流域対策のコストについて
- 紀の川流域のため池について
報告に対する主な意見等は次のとおり。
- 勉強会において示された、要請書における提示グラフに誤りがあることを指摘する。
→誤りはないと考えているが。誤りがあるのであれば具体的に示して頂きたい。
3.次回の開催内容について
次回の開催内容は次のとおり
- 河川整備計画の素案を提示する
- 危機管理対策について
- 質的安全度の向上について
河川整備計画や治水以外に委員の方から広い意味での紀の川環境、文化と言った、紀の川を潤いのあるものにするための案について委員の方から意見を頂きたい。
- 開催時期は5月頃とする。
- 開催場所は和歌山市内とする。
4.一般傍聴者からの意見
- 粉河町嶋地区は遊水地として活用すべきという団体からの意見があるが、耕作者としては受け入れられない。一日も早く築堤をし安心して生活できるようにして頂きたい。
- 堰の改築を行うときは魚道の整備もしっかりして欲しい。
- 大台ヶ原に広葉樹林の植林をして欲しい。
- 昔は今の五倍くらいの水量があったので泳げた。堰を造るだけの対策だけではなく、水源地の改良にも投資する必要がある。
- 勉強会を傍聴させて欲しい。
- 岩出井堰で行われている工事はどのようなものか。
→施設管理者である農林水産省が魚道の改築を実施している。
5.その他
- 前回の勉強会で委員から発言があった河道内の樹木を伐採するという話があったが、それはどうなったのか報告して欲しい。
- 地元から河道内の樹木の伐採について要請があった。これらの内容については当委員会で議論する内容であると考えており、回答はしていない。
⇒これらの問題を判断するにあたり、植生の観点から生態系を詳細に調べたらどうか。
→河道内樹木の問題は大きな課題であるが、議論する必要があると思う。また、指摘の点については、個別に対応したい。
→各種類を数年に一度のサイクルで河川水辺の国勢調査を全国一斉に実施しているのでその資料は提示できる。
この議事骨子は、委員会終了後に速やかに審議内容が公開できる様に取りまとめたものです。従って、今後議事の詳録を作成する上において、修正等が加わることがありますが、その際は、ホームページ上で修正箇所等を明らかにした上で再掲載を行いますのでご了承下さい。 |
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次回、第15回紀の川流域委員会は、5月後半に和歌山市で開催される予定です。詳細は、決定次第ホームページに掲載します。
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