第2回委員会について
開催概要
- 日時
- 平成22年12月9日(木) 15:30~18:00
- 場所
- 公益財団法人 文化財建造物保存技術協会 会議室1、2
- 出席委員
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委 員 9名(欠席2名)
行政委員 8名(代理出席を含む)(欠席2名)
検討資料
配布資料リスト
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議事次第
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出席者名簿
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第1回検討委員会の議事概要
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資料1
第一次大極殿院復原原案研究の進捗状況について
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資料2-1
西面回廊北寄り軟弱地盤に関する対応
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資料2-2
東西楼への登楼方法の検討
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資料2-1
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資料3
活用および管理について
議事要旨
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第1回検討委員会の議事概要の確認
第1回の議事概要について承認を得た。
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議事概要
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(1)第一次大極殿院復原原案研究の進捗状況について
奈良文化財研究所で進捗中である、復原原案の研究成果と今後の課題について説明が行われた。
これらの質問に対して順に、奈良文化財研究所より次のような回答があった。
- 重閣中門を朝堂院南門とするかは、最終的な判断ではないが、今後の検討を経て決定する予定である。
- 重閣中門は、文献から朝堂院南門と考えられるため、朱雀門から朝堂院南門の間で行われたと考えられる。
- 大極殿院南門が単層か重層かに関係する文献資料は無い。
- 鬼瓦の出土した位置は、奈良時代後半の南面回廊の位置と重なり、出土した鬼瓦は何れも同型であるので、鬼瓦からの時代判定が難しい。
- 穴門の位置については、回廊の北寄りの大部分は遺構が検出されていないので、具体的には不明である。
- 隅木蓋瓦が出土しているので、屋根形式は寄棟造りか入母屋造りとなるが、通し柱とした場合は、隅木という部材が45°方向に納まらないが、管柱とした場合は納めることが可能となので、今後、遺構からどちらの案を選択するか検討していく。
- 東西の両楼から隅木蓋瓦が検出されたことから、模型案の切り妻造り案は誤りであると判断している。
- 日本では正倉院正倉などの校倉造りに類例が見られる。いずれも倉造りで特殊な用途である。中国の類例も奈良時代に遡る例が少ない。
また、各委員から次のような意見があった。
- 往時の土木作業の規模などの観点からも検討を行ってほしい。
- 復原過程についても記録を残し、報告書を作成してほしい。また、途中経過についても随時公開していく努力をお願いしたい。
- ローマや故宮などは、正面建築物を仰ぎ見る高さに設計されている。往時では重要な視点であるので、そのような景観的な観点からも検討してはどうか。
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(2)第一次大極殿院の復原整備について
(1)厳正復原における問題点の提起
1.西面回廊北寄りの軟弱地盤への対応について西面回廊北寄りの地盤について、「圧密沈下」及び「地震時には液状化」が発生することが報告された。この範囲の復原について、今後の構造検討による安全性が確認できた場合の整備案として、資料(1)(2)の案の提示があり、安全性が確認できなかった場合の当面の整備案として(3)~(5)の案が提示された。
各委員から次のような意見があった。
- 現在の法的基準から判断して、設計時に必要なことは考慮しておく必要はあるが、液状化時にその都度、修復することを前提すれば、建築しても構わないのでないか。
- 版築をどの範囲まで復原するかは、西面回廊だけの問題ではなく、回廊全体の復原範囲と合わせて検討する必要がある。
- 現在の現状変更は、厳正な復原を行うべきとするのが趨勢である。
- 世界遺産における復原として、どの程度のものまで許容できるのかを確認する必要がある。
- 遺構保存に影響があるならば、軽量化案も仕方がない。ただし、新しい工法が開発されるまでの当面の整備方針とするべきである。
- 古典文学では、回廊が途中から異なる意匠となるのは、荒廃した庭の描写として登場する。途中から意匠が変わるのは好ましくない。
各委員の意見により、今後、次のように作業を進めていくことになった。
- 構造検討により安全性が確認された場合は(1)(2)案、若しくはその組合せとして作業を進めることし、構造検討により安全性が確認されなかった場合については、構造検討の結果を整理して、再度、議論する。
2.東西楼への登楼方法について
復原原案では、急勾配の階段が復原される見通しであることが説明されたうえで、見学者が眺望を楽しむための安全な登楼方法として、資料(2)~(4)の案についての諸条件が説明された。
各委員から次のような意見があった。
- 院地区の眺望については、正殿からの眺望と変わらないことや、利用時の安全性の問題からも積極的に登楼させる必要はない。
- 見学者用の階段は、復原した建築物に付加するという考え方をするべきある。
- イベント時に仮設的に設置する場合は、利用制限などを行うことが必要である。
- 古い建物では、急勾配の階段を使用して見学しているので、安全に配慮して、復原した階段を使用してはどうか。
各委員の意見により、今後、次のように作業を進めていくことになった。
- 再度、見学者を登楼させる目的を整理し、その上で見学者を登楼させる場合には、安全を確保するために必要な設備等を再検討して提案を行う。
(2)第一次大極殿院の活用案について
- 見学者及び身障者の動線、展示物の配置、古代催事の再現やイベントなどの活用案について説明が行われ、それらの活用を促進するために、拳大のれき敷きとなる院庭広場の復原範囲について提案が行われた。また、管理・運営について、緊急車両の動線計画、管理用の柵についての説明が行われた。
各委員より次のような質問・意見があった。
- 軟弱地盤である西面回廊を主要動線とするのは適切か。
- 身障者用階段を西側とした場合、時間帯によって日差しが問題とならないか。
- 斜路について、身障者用の勾配は確保できているのか。
- 通行しやすい園路の必要性は理解できる。ただし、木道などの付加的な構造とするなどの検討が必要。
- 古代催事の再現は、積極的に実施してほしい。
- 内庭広場をれき敷きとした場合の暑さ対策が必要。技術開発ができないか。
- 管理用の柵については、住宅地でもあるので、防犯上はやむを得ないのでないか。
最初の質問に対して、事務局より、次のとおり回答を行った。また、上記の意見を参考にして、今後の検討を進めることとなった。
- 現在ある第一次大極殿正殿は西面からが主な利用動線となっており、当面は西側を主要動線とするのが効果的であると考えたためである。
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(3)その他
事務局より、次回委員会は2月14日(木)に開催することを予定し、開催場所などの調整を行うとの連絡を行った。
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以上
各委員より次のような質問があった。