第4回委員会について

議事要旨

• 委員意見とその対応について

  事務局より、第3回委員会で発言のあった委員意見の概要と各意見に対する事務局の対応（基本計画（パブリックコメント公表版）への反映等）について、資料1を用いて説明を行った。

• パブリックコメント結果とその対応及び基本計画（案）について

  事務局より、基本計画（パブリックコメント公表版）に対する一般及び委員意見の概要と各意見に対する事務局の見解・対応について、資料2及び3を中心に用いて説明を行った。 各委員から主に次のようなご発言があった（以下、事務局において、基本計画の章立てに従い、分類を実施）。

  • 「1．平城宮跡の概況」関連

    「（2）平城宮跡の保存と活用」のマルポチ7番目にある「学習の場」について、生涯学習の場としても使われていることから、「小・中・高校生などの」を付すことなく、単に「学習の場」とすればよいのでないか。

  • 「2．基本理念及び基本方針」関連

    「（2）基本方針」の「①特別史跡・世界遺産である歴史・文化資産としての適切な保存・活用」にある「遺跡博物館」について、わかりやすくするために注釈を付すべきでないか。

  • 「6．利用・整備計画」の関連

    • 中央緑陰帯に高木は不適切。建物復原された（る）第一次大極殿や朱雀門が見えなくなるのは、平城宮跡の中では問題があるのでないか。
    • 緑地ゾーンについては、ここが古代の王宮であることがわかるようにして欲しい。園路について、図面では曲線で描かれているが、パブリックコメントの回答にあるとおり、古代の道路位置を踏襲した直線的なものとして欲しい。
    • 計画にある「平城宮跡展示館」、「歴史体験学習館」等については、「平城宮跡遺跡博物館」といった名称となり、奈良にある世界遺産の紹介や今後の調査研究成果をその都度発信できるような施設として欲しい。
    • 「（3）エリア横断的な施設の整備方針」の「4）利用サービス施設等」にある「①駐車場」の中の臨時駐車場に関する記述で、パーク＆バスライド方式により史跡区域内の駐車はできるだけ避けるという前提がありながら、何の前提条件もなく、基本計画の段階でここまで書くのはいかがか。
    • 臨時駐車場に関する記述については推進計画を踏まえた記述になっていると理解しているが、「催事なら何でもよい」といった誤解を与えるおそれもあり、「平城宮跡の保存ないし活用にとって意義のある」といった文言を付け加えて欲しい。
    • 「（3）エリア横断的な施設の整備方針」の「4）利用サービス施設等」にある「④軽飲食等施設等」について、中央緑陰帯にレストランを設ける場合、インフラを含めて地下遺構を傷めずにどのように整備するのかといった問題がある。現在の便益よりも保存を優先するという原則を貫いて欲しい。
    • 施設整備に関し、どこにどういったものを設けるかについては、景観上の問題等に留意しながら、基本設計できちんと検討していくようにして欲しい。

  • 「7．管理・運営方針」関連

    • 全体としてハードな計画に対応するソフト、活用の面が明確でないので、基本設計段階で十分な検討、作成を行って欲しい。
    • 国営公園がオープンすれば事業が終わりということではなく、ハードな公園整備の終了後もソフトな意味での歴史公園の整備がずっと続いていくという視点が必要。そのためには、国交省や文化庁、奈良文化財研究所、奈良県、奈良市や地元の諸団体との協議の場を設け、評価を受けながらより良い歴史公園としていくシステムを考えて欲しい。
    • 管理においては、どのような体制、組織で、どういった役割分担により管理を進めていくか、基本設計段階で十分考えておく必要があるのでないか。
    • 管理・運営を委託する際は、長いレンジで遺跡博物館となる公園を見ていくことのできるシステムを考えて欲しい。
    • 草花や庭園など、その場の性格や質によって管理密度や手法は多様であり、その場に合わせたレベル、内容を考えていく必要があるのでないか。
    • 植栽、植物管理については、往時の歴史的な景観の復原と遮蔽・修景、緑陰などの機能の確保の両面から考えていく必要があるのでないか。 また、植物管理は生態系の管理にもつながるものであり、将来的に望ましい生態系はどのようなものかといったことも考えておく必要があるのでないか。
    • 伝統技術の保存・継承ということについて、発掘調査・研究、整備が継続的に行われる段階で、来園者に情報提供を行い、知ってもらうということがあるのでないか。
    • ソフトの一つとして、伝統技術を体験してもらうということもあるのでないか。

  • 「8．段階整備方針」関連

    外周部の景観整備と今後の発掘については、相当詰めて行うようにする必要があるのでないか。また、段階整備の中で、過渡期の公園のあり方、変化する公園のあり方をどうするのかについての工夫が必要でないか。

  • その他

    • パブリックコメントの結果からは、「生活者視点」と「遺跡公園としてあるべき姿」の2つの観点が出てきているように思われる。この計画については、それらの対立ということが、今後ずっとつきまとうのでないか。その時に、平城宮跡の特徴を活かした奈良のためにもなる戦略的な計画であるというイメージが出れば、生活者視点の方にも理解が生まれるのでないか。
    • 平城宮跡は、行って、聞いてみて、納得してもらう学習型観光の場所であって、「歩くこと」と「聞くこと」が大変重要。ハードの整備と同じくらいのウェイトをかけて、情報発信したいこと、来園者に感じて欲しいことを今後の実施計画の段階で具体化する必要があり、その視点を失ってしまうと生活者視点を持った人も説得できないし、計画の方向性も定まらないことになる。このことは、今回のとりまとめを超えて、次の段階にきっちりと引き継いで欲しい。
    • 奈良県においては、基本計画がまとまった後、事業が円滑に進んでいくように、道路、鉄道の移設、周辺の整備について、奈良市とも一緒になって、積極的に進めていきたいと考えている。

  以上、多くのご発言があったが、基本的には今回提示した基本計画（案）を了承し、一部修正については、委員長が内容確認を行うことにより、委員会としての成案を得ることで了解を得た。

• その他について

  事務局より、本年度を中心とした今後の予定として、近畿地方整備局における基本計画の決定、奈良県が主体となって行う都市計画公園の決定の手続き、スケジュール等について、参考資料4を用いて説明を行った。

以上