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3.水質 |
1)定期調査 |
紀の川の下流域の水質を把握するため、新六ヶ井堰及び船戸地点(環境基準点)の2地点において、pH、BOD、COD、SS、DO、大腸菌群数、T-N、T-Pの8項目について、昭和51年から平成13年の間、月1回調査を行いました。水質(生活環境項目)の経年変化は以下に示すとおりです。 |
図 調査点(定期調査) |
水質調査結果一覧(S51~H13:グラフ) |
・項目の説明 |
項目 | 解説 |
---|---|
水素イオン 濃度(pH) |
水の酸性とアルカリ性の度合いを示す指標で、単位はありません。 中性の水はpH7で、7より小さいものは酸性、7より大きいものはアルカリ性です。 河川では、水深が浅く、水が停滞するような場所では河床の付着藻類の光合成のためにpHが高くなることがあります。 pHは水中の化学的作用や生物作用に大きな影響を与えます。強い酸性やアルカリ性の水の中では普通の微生物は活動できません。アルカリ側では金属の水酸化物が生成され透明度が下がったり底泥の堆積量が増えたりしやすく、酸性側では底質中の金属が溶出しやすくなります。 |
生物化学的酸素 要求量(BOD) |
[Biochemical Oxygen Demand] 水中の比較的分解されやすい有機物が、溶存酸素の存在のもとに好気性微生物によって酸化分解される時に消費される酸素の量で、通常20℃で5日間、暗所で培養したときの消費量を指します。 水中で酸素を消費する物質は主に有機物であることから、有機汚濁の指標として用いられています。 BODが高いということは溶存酸素が欠乏しやすいことを意味し、BOD10mg/L以上では悪臭の発生など嫌気性分解に伴う障害が現れ始めます。 上水用水源としては、BOD3mg/Lを超えると一般の上水処理方法では処理が困難になるとされています。 水産用水としては、ヤマメ、イワナなどの清水性魚類に対してはBOD2mg/L以下、サケ、マス、アユなどは3mg/L以下、比較的汚濁に強いコイ、フナ類でも5mg/L以下が適当とされています。 人為的汚染のない河川のBODは概ね1mg/L以下です。 |
化学的酸素 要求量(COD) |
[Chemical Oxygen Demand] 水中の被酸化性物質(主として有機物)を酸化する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したもので、BODとともに有機汚濁の指標としてよく用いられます(河川の環境基準はBODで設定されており、湖沼や海域の環境基準はCODで設定されています)。 人為的汚濁のない水域のCODは概ね1mg/L以下です。 利水目的によるCODは、水道用水源としては3mg/L以下、水産用水としてはサケ、マスなどには3mg/L以下、コイ、フナなどには5mg/L以下、農業用水としては溶存酸素の不足による根ぐされ病の防止の点から6mg/L以下が望ましいとされています。 |
浮遊物質量(SS) | [Suspended Solids] 水中に懸濁している不溶解性の粒子状物質のことで、粘土鉱物に由来する微粒子や、動植物プランクトン及びその死骸、下水・工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿などが含まれます。一般に、清澄な河川では粘土分が主体ですが、汚濁が進んだ河川では有機物の比率が高くなります。 通常の河川のSSは25mg/L以下、かなり汚濁した河川でも100mg/L以下ですが、降雨後の濁水の流出時には数百mg/L以上になることもあります。 農業用水としては、土壌の透水性の保持の点からSS100mg/L以下、水産用水としては河川については25mg/L以下が適当とされています。 |
溶存酸素量(DO) | [Dissolved Oxygen] 水中に溶解している酸素ガス(O2)のことで、河川での自浄作用や、魚類をはじめとする水生生物の生活には不可欠なものです。 一般に、魚介類が生存するためにはDO3mg/L以上が必要であり、良好な状態を保つためには5mg/L以上であることが望ましいとされています。また、好気性微生物が活発に活動するためにはDO2mg/L以上が必要であり、それ以下になると嫌気性分解が起こって、硫化水素などの悪臭物質が発生したりします。 農業用水としては、DO5mg/L以下では根ぐされなどの障害が生じます。 |
大腸菌群数 | 大腸菌群とは、大腸菌及び大腸菌とよく似た性質を持つ細菌の総称です。大腸菌群はし尿汚染の指標として広く用いられています。 |
総窒素(T-N) | [Total Nitrogen] 水中に存在する全ての形態の窒素の総量(N2ガスを除く)をいいます。 富栄養化の指標として用いられています。 |
総リン(T-P) | [Total Phosphorus] 水中に存在する全てのリン化合物の総量をいいます。 総窒素と同様に、富栄養化の指標として用いられています。 |
[参考:生活環境の保全に関する環境基準] |
項目\類型 | AA | A | B | C | D | E |
---|---|---|---|---|---|---|
水素イオン 濃度(pH) |
6.5~8.5 | 6.5~8.5 | 6.5~8.5 | 6.5~8.5 | 6.0~8.5 | 6.0~8.5 |
生物化学的酸素 要求量(BOD) |
1mg/L以下 | 2mg/L以下 | 3mg/L以下 | 5mg/L以下 | 8mg/L以下 | 10mg/L以下 |
浮遊物質量(SS) | 25mg/L以下 | 25mg/L以下 | 25mg/L以下 | 50mg/L以下 | 100mg/L以下 | ごみ等の浮遊が認められないこと |
溶存酸素量(DO) | 7.5mg/L以上 | 7.5mg/L以下 | 5mg/L以上 | 5mg/L以上 | 2mg/L以上 | 2mg/L以上 |
大腸菌群数 | 50MPN/ 100mL以下 |
1000MPN/ 100mL以下 |
5000MPN/ 100mL以下 |
- | - | - |
備考)紀の川下流部はA類型に指定されています。 |
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