これまでいただいたご意見について

全般に関するご意見

1、淀川水系5ダムの治水、利水問題に関する円卓会議の要請

 淀川流域委員会も終盤を迎え10月29日河川整備計画原案が出される段階になってきています。2年余の歳月を重ねての議論の結晶は今後の河川計画の指針になるべき「提言」を生んだが、近畿地方整備局は5月15日、委員会「提言」を覆す「見直し案」の発表を行い、これまで委員会を見守ってきた全ての流域住民のみならず河川環境に関心を持つ市民、そしてダム問題を抱える団体を驚かせました。そしてその反応は8月20日朝日新聞社説「淀川のダム 委員会を無駄にするな」の記事となってマスコミをも賑わせることになりました。

 このマスコミ報道については、近畿地方整備局は誤報扱いの弁明をしていますが、マスコミが誤解するようであるなら市民、住民が誤解するのが当然です。しかし、整備局の弁明は先日の24回淀川流域委員会での委員の〈「河川整備計画原案の案」は「提言」から乖離している〉がやはり的を射た発言と思われ私達を納得させるに至っていません。従って、マスコミ報道を否定するならばやはりこの疑いを払拭しなければ、また説明の必要が整備局にあると考えます。

 「見直し案」で特にショックを感じているのはやはりダム建設問題を抱えている団体です。元より淀川流域委員会はダム反対団体からの委員を公募採択していません。従って、ダム論を正面切って協議した委員は少なく議論が深まっていない状況でダムの治水、利水論が通過しているきらいが見受けられます。この背景での流域委員会の機構からダム問題を検証する団体の意見書と質問状はことごとく無視されてきているのが現状です。この無視は整備局本体でなければどの段階においてそうなっているのか疑問です。

 ダム問題を考える団体の意見書、質問書が反映されない流域委員会は果たして新河川法の理念を標榜できるのでしょうか。甚だ疑問が残るばかりで、全国に先駆け開かれた透明性を謳った広告塔としての流域委員会の名を汚すことになり、60名近い委員の方のご尽力があるにも拘らず禍根を残すことになりかねません。

 そこで私達は、ダム問題の議論が深まることを願って円卓会議を企画しました。そうすることが流域委員会においてより進化した方法で河川整備のあり方を議論する上で一石を投じる、さらにマスコミの誤解を払拭する為にも賢明な場になると考えた次第です。

 円卓会議の方法は、丹生ダム、川上ダム、余野川ダム、大戸川ダム、安威川ダム、5ダムの団体、「関西のダムと水道を考える会」、「大阪自然環境保全協会」の7団体の参加と近畿地方整備局の方々とにおいて行いたいと考えています。なお、淀川流域委員会委員、河川環境に関心のある方に傍聴参加を促したいと考えています。今回の円卓会議は河川整備計画とダム問題を多角的な視点で論じあい、参考意見をお聞きする場と思っています。

 以上、近畿地方整備局に対して共有の場を持って頂くことを要請します。

 なお、日時は10月25日(土)午後とさせて頂きます。

 主催団体は「脱ダムネット関西」です。

 各団体の参加者が確定しているのは、「関西のダムと水道を考える会」代表の野村東洋夫、「大阪自然環境保全協会」会長高田直俊2名です。

 よろしく取り計らいお願いします。

 岩畑正行
 2003.9.26
回答
「円卓会議参加要請」に対しましては、下記のように考えております。

◆淀川水系の河川整備計画を策定するために、河川管理者としての近畿地方整備局では、次のような取り組みを行っております。

・河川管理者としての近畿地方整備局では、ホームページやFAXなどで一般の方々などからのご意見やご質問をお受けしており、それについての回答をさせていただいています。回答が遅れているものもありますが、必ずお返しする予定です。

・整備計画の策定に当たっての取り組みとしては、淀川水系流域委員会(これまでに委員会25回、地域別部会67回、テーマ別部会21回)での説明や、一般住民の方々を対象とした説明や意見交換(これまでに延べ39回)、関係自治体への説明・意見交換を実施しています。

また、ご意見やご質問ををいただいたグループや団体にも出向いての説明や意見交換も行っています。

(なお、これまでに住民の方々からは延べ約1,600件のご意見・ご質問をいただいております。)

・これからも、これまでのような説明会や意見交換会を予定しているほか、対話集会なども開催していく予定です。その中で、ご意見などをお聞きしていくことにしています。

・なお、10月25日は木之本町内で基礎原案につきましての意見交換会を開催することにしております。

 以上のことから、淀川水系5ダムの計画内容の見直しにつきましては、淀川水系河川整備計画策定の手続きの中で、淀川水系流域委員会、流域の住民の皆様、関係自治体の意見を聞きつつ行って行きたいので、今回ご提案の円卓会議には参加を見合わせさせていただきます。
以上

平成15年10月6日
近畿地方整備局河川部

2、円卓会議の要請に対する回答書について

7日、要請書の主催団体「脱ダムネット関西」の会議において貴職から頂いた回答書についての意見交換を持ち、私から当日の面談での模様を報告しました。

 先ず率直に申し上げて、「回答書」は全く「要請書」の本意を汲み取っていない近畿整備局河川部の常套句(「委員会を何回開催した、グループや団体に出向いて説明会を持った、今後対話集会を開催していく予定です」)でしかないことにげんなりしています。個人的なことになりますが、松山監理官とは5年来の旧知になります。互いの性格を熟知して面談した結果としては甚だ残念な段違いの平行棒の認識に終わったことに、国土省の名称が変わっても「三つ子の魂百まで」との思いを強くするものでしかありませんでした。

 と言うのも、8月の「大阪自然環境保全協会」と「関西のダムと水道を考える会」への説明会においても、「はっきりした答えが返ってこない」との不満の意見が相変わらず出ました。また各団体の代表は意見書に対する回答が得られないとのことから督促状を出したとの話も聞きました。意見書、質問状が無視されているという事実は要請書でも明記していますが、現実に私自身も9月5日の京都での淀川流域委員会では、川上ダムの住民団体の方が傍聴者発言において質問状に対して回答はいつまで経っても得られないとの発言を聞いています。このように近畿整備局河川部の説明は住民、市民団体を説得するどころか、反って不信、反発を募らせるもとになっています。詰り行政が率先して行わなければならない住民への説明責任を果たしていないのが現実です。 

国土省は河川行政の行詰りから住民の意見を反映させる為に新河川法を発足させたことを忘れているのではないか。また、流域委員会は表紙の説明では立ち行かなくなった現状を踏まえて公開での住民参加、傍聴者を含めての幅広い意見の反映、議論の深まりを前提としたものであった筈です。しかし、近畿整備局河川部の常套句と住民団体の特にダム建設についての理解に著しい隔たり、認識の不一致があることを近畿整備局河川部は認めようとせず、誤解の一点張りで全てを封印する手法に終始しています。そして、淀川流域委員会においても意見書を取り上げないで審議が続行しているのが現実です。

更に懸念される意見書の無視は、ホームページの記載の遅滞と相俟って貴重な住民意見を葬りさせるきらいが見え隠れします。これらの実態は甚だ残念なことではあるが住民無視の誹りを免れないものです。議論の俎上にのらない、半年後れでしかホームページに掲載されない現実はもはや住民無視の最たるものと言えます。

取分け今回の「要請書」を無視した近畿整備局河川部の対応は新河川法の理念を逸脱した建設省当時に逆行したものであると言わざるを得ません。今回の「回答書」を出した近畿整備局河川部を厳しく糾弾します。

 岩畑 正行
 2003.10.9
回答
ご意見いただきました。

 淀川水系河川整備計画策定に当たっての取り組みの中で、住民の皆様からたくさんのご意見やご質問をいただいております。これらいただきましたご意見・ご質問に対しましては、順次回答させていただいておりますが、回答の遅れているものもございます。

 つきましては、回答が遅れておりますご意見・ご質問につきましても、必ずお返しさせていただく予定でございますのでご理解賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 河川管理者としての近畿地方整備局といたしましては、今後とも、淀川水系河川整備計画策定の手続きの中で、淀川水系流域委員会、流域の住民の皆様、関係自治体の意見をお聞きしながら取り組んで参ります。宜しくお願いいたします。
以上
平成15年10月20日
近畿地方整備局河川部

3、水需要精査についての質問

水利権更新の際の水需要精査について2つの質問をします。

貴整備局は「淀川水系河川整備計画基礎原案」(平成15年9月5日)の中で次のように明言されています。(p、46)

“利水者の水需要(水利用実績、需要予測(水需要抑制策を含む)、事業認可及び事業の進捗状況、水源状況等)について水利権更新の際に精査確認し、適切な水利権許可を行うとともに精査確認結果を公表する”

そこで私共は昨日、貴整備局に出向きまして水利台帳を閲覧しました所、淀川下流部などにおける現行の水利権の許可期限が次の通りであることを知りました。

(上水)(許可期限)
大阪府 H20,3,31(H10,10,9更新)
阪神水道 H20,3,31(H13,2,28更新)
大阪市 H15、6,30(現在審査中)       
京都府(天ヶ瀬ダム) H31、11,4(暫定許可期限H15,3,31)
京都府(木津川) H21、3,31(H11,5,20変更)
京都府(桂川) H18,3,31(H8,12,25新規)

(工水)          
大阪府 H16,3,31 (H15,8,5更新)
大阪市 H16,3,31(H15,8,5更新)
大阪臨海 H16,3,31(H15,8,5更新)
尼崎市 H16,3,31(H15,6,16変更・更新)
神戸市 H24、3,31(H15,5,30更新) 
西宮市 H24,3,31(H14,11,25更新)
伊丹市 H24,3,31(H15,5,8変更)


[質問1]5ダムの水需要精査を繰り上げるべきではないでしょうか?
この一覧表によれば、大阪府と阪神水道(共に上水)の水利権更新はH20年3月31日となりますから、冒頭の「基礎原案」の記述に従えば、貴整備局がこの2つの利水者の水需要の精査確認を行うのは、なんと今から約5年先ということになります。京都府(桂川)の場合でも、まだ2年6ヶ月あります。これは貴整備局が5ダム見直し案の全てにおいて“早急な水需要の精査確認”を謳っていたことと矛盾するものです。

周知の通り、大阪府は丹生ダム・大戸川ダムに参画しており、阪神水道は丹生ダム・余野川ダムに、京都府は丹生ダム・大戸川ダム・天ヶ瀬ダム再開発にそれぞれ参画していますが、事業中のダムについて貴整備局はこれまで淀川水系流域委員会の場において「本体工事などの新たな段階に入るか否かは、今後1~2年の調査検討を行った上で結論を出す」と再三に渡って明言されています。今回の「基礎原案」や「整備シート」においても同様の記述が見られます。私達もこの際、時間を掛けて充分な調査検討を行うことには勿論賛成ですが、しかし大阪府などがこれらのダムに参画した主目的は「利水」なのですから、利水の精査検討を行わずしてダムの当否の結論を出すことは出来ない筈です。従ってこの際、貴整備局は水利権更新時期には拘らずに水需要精査の時期を繰り上げ、この1~2年の間にこれを実施すべきものと考えますが如何でしょうか?


[質問2]大阪市(上水)の精査を行っているのでしょうか?
上記の許可期限一覧において、「大阪市」の上水の期限が「H15,6,30」とあり、昨日の水利権担当官の説明では“現在水利権更新の審査中”とのことでした。とすれば、「水利権更新時の水需要の精査」の一番手として、早速大阪市の精査に取り掛かるべきと思われますが、貴整備局はこれを行っているのでしょうか?

私達が昨年8月の淀川水系流域委員会「水需要管理WG」で30分の時間を頂き、「大阪市の過剰な水利権」と題して説明しました通り、同市は日量にして80万m3を越える極端な水利権余剰状況にあります。この値が如何に大きなものであるかは、5ダム(丹生、大戸川、川上、天ヶ瀬、余野川ダム)による新規開発水量の合計値(57万m3)を遥かに上回るものであることからも明らかで、正に淀川水系最大の水利権余剰です。

貴整備局にはこの機会を捉えて同市の精査を実施して頂き、この大量の余剰水を「用途転用」や「環境流量」として有効活用する方策を、是非とも示して頂きたいものです。
(以上)
回答
[質問1]に対する回答
基礎原案の【5.7.2各ダムの調査検討内容】に「利水について、水需要の精査確 認を行う。」と記載しております。
計画中5ダムの調査検討を終了する以前に、利水容量(水需要)の精査確認結果をとりまとめたいと考えています。 

[質問2]に対する回答
期間満了に伴い利水者(大阪市)から更新申請がありましたので、水需要予測等を含めて、厳正に審査をしています。
以上

4、経費について

今日までの調査研究として使われた経費はどれくらいか?全てを明らかにすべしである。平成15年3月末までに8億5240万円と聞いている。その後、どれ位かかるのか?
回答
 流域委員会の運営は、河川管理者と一線を画し、流域委員会の意思を積極的に支援する中立的立場の民間企業が庶務を実施することとなっています。

 庶務は流域委員会の指示に基づき、円滑な審議・提案や運営を図る為の環境を整える必要があります。

 流域委員会においては、河川管理者は意見の陳述や事実・状況の説明は行いますが、委員会の独立性を確保するため、委員会資料作成・審議のとりまとめ・情報発信・委員会運営といった作業には関与しないため、それらについては、委員会の庶務が積極的に継続性も含めて実施する必要性があるため淀川水系流域委員会運営業務として委託しています。

●淀川水系流域委員会運営業務(平成13年1月20日~平成13年10月31日)
契約金額:¥152,880,000

委託内容:
委員会運営、情報発信支援(ホームページ・ニュースレター作成)、委員会資料作成、会場費、委員報酬、議事録作成・・・等

実施回数:
委員会 5回
地域別部会 18回

●淀川水系流域委員会運営(その2)業務(平成13年11月1日~平成14年5月31日)
契約金額:¥276,097,500

委託内容:
委員会運営、情報発信支援(ホームページ・ニュースレター作成)、一般意見募集・シンポジウム開催告知、委員会資料作成、会場費、委員報酬、議事録作成・・・等

実施回数:
委員会 6回
地域別部会 20回
検討会 6回
広報(募集告知等)2回

●淀川水系流域委員会運営(その3)業務(平成14年6月3日~平成15年3月31日)
契約金額:¥410,550,000

委託内容:
委員会運営、情報発信支援(ホームページ・ニュースレター作成)、シンポジウム・提言発表会実施報告、委員会資料作成、会場費、委員報酬、議事録作成・・・等

実施回数:
委員会 9回
地域別部会 20回
テーマ別部会 8回
検討会 27回
シンポジウム開催等 2回
広報(実施報告等) 2回

●淀川水系流域委員会運営(その4)業務(平成15年4月5日~平成15年12月10日)
契約金額:¥309,750,000

委託内容:
委員会運営、情報発信支援(ホームページ・ニュースレター作成)、委員会資料作成、会場費、委員報酬、議事録作成・・・等

実施回数:
委員会 7回
地域別部会 8回
テーマ別部会 16回
検討会 19回