淀川水系河川整備計画(案)説明資料
シンポジウム「琵琶湖淀川の流域自治を考える」整備局説明資料 平成20年11月23日
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- 平成9年の河川法改正では、従来の工事実施基本計画を河川整備基本方針と河川整備計画という2階建ての計画としました。
- 河川整備基本方針は、河川管理者の責務において、全国的な整備バランスを考慮しつつ、水系全体を見渡して定める必要のある事項(基本高水流量、貯留施設と河道配分、主要地点の計画高水流量等)を定め、社会資本整備審議会の意見を聞き、国土交通大臣が決定します。
- 河川整備計画は、河川整備基本方針に従って20年から30年間に行う実行計画であり、費用、期間も十分勘案し、学識経験者、住民、地方公共団体の長の意見を聞き、地方整備局で策定します。
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- 河川法改正で手続きが定められ、淀川水系でもこれに基づいて基本方針、整備計画の策定を進めています。
- 淀川水系では平成19年の8月に河川整備基本方針が策定され、 これまでに関係住民、関係自治体の長、学識者の皆さん方のご意見をお伺いし、平成20年6月20日に淀川水系河川整備計画(案)を作成し、関係6府県に意見照会を行いました。
- 現在(平成20年11月23日)は6府県知事のご意見をお待ちしている状態です。
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- 治水の計画は長期的な目標を定める河川整備基本方針とその方針に至る段階的な整備内容を定める河川整備計画があります。 (この他に総合治水等、様々なレベルの計画があります。)
- どのような計画であれ、治水計画は、目標とする洪水の規模を決め、その目標とする洪水を安全に流す方策を必ず書きます。
- 安全に流すというのは
- 川の中では計画高水位以下で流れるということ
- 洪水を貯めるダムでは、容量が不足すること無く洪水調節ができることです。
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- 図の縦は現状・整備計画・基本方針と整備が進んで川が少しずつ大きくなっていくイメージです。
- 横は雨の大きさを表しており、降雨量小は毎年もしくは数年に1回降るような洪水、降雨量中は20~30年に1回来るような洪水、 降雨量大は100~200年に1回位の洪水、降雨量特大はそれよりも大きな洪水です。
- 1段目を左から右へ見ていくと、現在の淀川でも数年に1回の洪水では何とか川の中で安全に流れてくれますが、それよりもちょっと大きな洪水になると計画高水位を超えて、堤防から溢れてしまうところがあり、それよりも大きな洪水ではあちこちで堤防から溢れて壊滅的な被害が出てしまいます。
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- 図の青いところが、川が洪水を安全に流すことができる、言わば河川の基礎体力です。
- 下に行くほど(整備が進むほど)洪水に対する河川の基礎体力が大きくなります。
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- 図の赤いところは川の基礎体力だけでは完全には守りきれない部分です。
- この部分には、水防活動や、ハザードマップを用意して大きな洪水の場合も避難経路・避難場所をきちんと確保するなど、被害を出来るだけ少なく押さえるということが必要になります。
- この赤と青のバランスをどう考えるかが整備計画を作るうえで重要となります。
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- 河の中で洪水を安全に流す基準としている計画高水位は、淀川では昭和14年に設定されています。
- この計画高水位は、橋梁の高さやポンプ場の能力等の川に関わる施設の設計や管理に使用されているため、変更すると 大きな社会的影響があります。計画高水位は、まちづくりと河川管理の約束事と言えます。
- また、計画高水位を少しでも上げてしまうと、川の中で流れる水位が高くなり、堤防決壊時の被害が拡大されるため、 計画高水位を上げないことが治水の大原則です。
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- 次に河川整備の目標を達成するための方策である「ダム」と「河川改修」の特徴について説明します。
- 縦に川の中で安全に流下することができる能力、横は川の下流から上流をイメージした図です。
- 河川改修で対応する場合、下流から上流まで線で計画し、工事は1箇所ずつ順に、点で施工していきます。
- 図のように河川の危険な区間が4箇所あった場合、上流2箇所の河川改修を実施すると・・・。
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- 改修を実施した区間の安全度は向上します。
- しかし、今まで溢れてしまっていた洪水が下流に流れていくので下流では危険が増大してしまいます。そのため、整備は下流から順に行うのが一般的です。
- また、残りの危険な区間の安全度は向上しないため、次の箇所の整備を順次実施していく必要があります。
- つまり線で計画して点で対応すると言うことになります。
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- 一方、河川の危険な区間の安全度向上をダムによって目指すと・・・。
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- 危険な区間を流れてくる流量が上流で調節されるため、上流から下流まで全川的に安全度が向上します。
- つまり点で整備して線で効果が現れます。
- なお、この効果は水位が低い場合でも表れるため、中小の洪水に対しても効果が現れます。
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- 淀川においては、木津川上流に川上ダム、宇治川の天ヶ瀬ダム、大戸川上流の大戸川ダムを整備することで、支川だけの水位を下げるのではなく、淀川本川まで一貫して水位を下げることができます。
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- 淀川水系河川整備計画(案)の目標は、水系全体において戦後最大洪水を安全に流下させることです。
- 下流部の淀川については、安全度は上がらないものの現況で確保できている計画規模洪水を安全に流下させる安全度を堅持します。
- 言い換えると淀川本川の安全度を堅持した上で中上流の安全度を向上させることが目標です。
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- 目標洪水を安全に流下させるためには、ここに示した全ての施策が必要です。
- この施策は淀川水系河川整備計画(案)で記載しています。
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- 他の河川に比べて治水安全度が低い桂川の治水対策は緊急性が高く、早急に整備を実施する必要があります。
- 大戸川ダムが整備されなかった場合でも、桂川では10年に1回程度の洪水に対応できる安全度を確保できるまで整備を行うことができます。
- この整備を行うと、平成16年台風23号の洪水を安全に流下させることができますが、戦後最大洪水を安全に流すためには さらに掘削が必要となります。
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- 整備計画の事業メニューを下流の淀川から見たときに、淀川の水位への影響を青(淀川の水位を下げる事業) ・赤(淀川の水位が上がる事業)・黄(淀川の水位に影響のない事業)で表現すると、ダムのように水を貯めるという方法は、 淀川について水位を下げてくれます。
- しかし、中上流の河川の改修は今まで中流で溢れていた水が淀川に流れてくるので、淀川から見れば、かえって危険を招くものになってしまいます。
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- 整備事業メニュー全てを同時に、かつ短期間に進めることはできないため、上下流の河川整備進捗や水害の発生状況、 国・自治体の財政状況などを考慮しながら計画的に実施していきます。
- 左側は淀川水系の現状から見て緊急的に実施すべき事業、右側は事業の進み具合や国・県の財政状況を見ながら計画的に進めていく事業です。
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- 縦に計画の目標規模、横に年月で整備メニューを表したイメージです。
- 濃い黄色と薄い黄色の全体が仕上がると河川整備計画(案)で目標としている戦後最大の洪水をもたらす雨が再び降っても安全に流下させることができます。
- その先も基本方針で目標としている計画規模の雨が降っても安全に流すことができるまで、順次段階を踏みながら淀川の整備を進めていくこととなります。
- このように目標を決めて段階的に整備を進めていくのが計画のプロセスです。