
(1)洪水調節機能の向上
●既存天ケ瀬ダムに加えてトンネルを整備し放流能力を増強させることで、天ケ瀬ダム地点における計画高水流量2,080m3/sを1,140m3/sに調節して宇治川の氾濫を防ぎます。また、放流能力の増強により洪水後期に琵琶湖の水位を速やかに低下させて琵琶湖沿岸部の浸水被害を軽減することにも資することができます。
【現状】
現状の天ケ瀬ダムは放流能力が小さい(840m3/s)ため、ダムへの流入量が小さい洪水初期の段階から洪水を貯留し始めることとなり、計画規模の洪水である昭和57年台風10号型洪水の1.34倍(宇治1/150)では、容量を早く使い切って洪水調節が出来なくなります。そのため天ケ瀬ダムへの流入量をそのまま下流に放流することとなり、下流の流下能力を超えて、被害が発生することになります。
【目的】
■洪水調節
・洪水調節時の放流量を現況の840m3/sから1,140m3/sに増強することにより、天ケ瀬ダムの洪水調節容量の有効活用を図ります。
(2)京都府の水道用水の確保
●宇治市、城陽市、八幡市、久御山町の3市1町に供給する水道用水を確保するために新たに水道容量を1,540,000m3増量し、現在の天ケ瀬ダムからの取水量を0.3m3/sから0.9m3/sに増大します。
【現状】
京都府営水道の天ケ瀬ダム湖からの直接取水については、天ケ瀬ダム建設時の安定水利権0.3m3/sをもとに、昭和39年から取水が開始されています。その後人口増加等に伴う水需要増に対応すべく、天ケ瀬ダム再開発事業を前提とした取水がなされています。
(3)発電能力の増強
●発電最低水位を1.5m下げる(EL.68.6m→EL.67.1m)ことにより発電容量を確保し、夏期の喜撰山発電所の電力供給量を増量します。
【現状】
喜撰山発電所建設当時の電力需要のピークは冬型であり、電力需要のピーク時に利用できる天ケ瀬ダムの容量は十分でした。その後電力需要のピークが夏型に移行しましたが、夏場は洪水に備えて貯水池の水を少なくしているため、喜撰山ダムにたくさんの水をくみ上げることができず、喜撰山発電所の能力を十分に発揮できていません。