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砂防施設の整備

安全なくらしを土砂災害から守るため、六甲山地にはたくさんの砂防施設がつくられています。

砂防施設とは、文字通り「砂を防ぐための施設」のことですが、流れ出した土や砂を何が何でもくい止める、砂の一粒たりとも下流へ流さないというものではありません。何もせず、自然のままにしておくと、土石流などの原因となる危険な土砂について、流出を防ぎ、調節して、被害を軽減する役割を果たしているのです。

六甲山地では、砂防えん堤工のほか、護岸工、山腹工といった工法により事業が進められ、土砂災害を防いでいます。

六甲山地の主な砂防事業主体
国土交通省六甲砂防事務所
兵庫県砂防課
神戸市

六甲砂防事務所の施設整備状況
砂防えん堤 大雨が降った時など、流れてくる土砂を一時的にため、流れの力を弱めて、下流に被害が出るのを防ぐ 524基
山腹工 崩壊した山の斜面を、柵や壁の設置・植林などにより安定させ、土砂の流出を防ぐ 27ヶ所
渓流保全工 降雨や流水で土砂が削られるのを防ぐ 49ヶ所
(平成23年3月末現在)



六甲山でみられる砂防施設のいろいろ

重力式えん堤(五助えん堤)

重力式えん堤(五助えん堤)
最も多くつくられているタイプのえん堤。えん堤自身の重さによって、水圧や土の圧力に対して安定を保つように設計されています。

格子型鋼製えん堤(鷹尾第二えん堤)

格子型鋼製えん堤(鷹尾第二えん堤)
鋼管パイプを組み合わせてつくられています。普段は土砂を貯めずに下流に流しますが、土石流発生時に流木や大きな石をしっかりと受け止めるえん堤です。河道を寸断しない構造のため、魚など水生生物の行き来を妨げません。


スリット付きえん堤(杣谷えん堤)

スリット付きえん堤(杣谷えん堤)
水が通る部分の一部を深く切り込んで、土砂を調節する働きを高めたえん堤。せき止めた土砂の調節量が大きいのが特長です。

アーチ式えん堤(帝釈えん堤)

アーチ式えん堤(帝釈えん堤)
両岸の岩盤を支えにして安定するように設計されたえん堤。重力式に比べてコンクリートの量が少なくてすみ経済的です。


流木止め付きえん堤(諏訪山第2えん堤)

流木止め付きえん堤(諏訪山第2えん堤)
土砂をせき止めるだけでなく、川を流れてきた木がまちに流れ出すのを防止するえん堤。下流の橋やトンネルに木がつまって、水や土砂が氾濫するのを防ぎます。

鋼製枠えん堤(鷲林寺2号えん堤)

鋼製枠えん堤(鷲林寺2号えん堤)
鋼材を組み立てて枠をつくり、中に玉石をつめて完成するえん堤。工期が短くてすむので、緊急を要する場合によく活用されます。


山腹工(杣谷山腹工)

山腹工(杣谷山腹工)
山の斜面が崩れた所や緑が失われ荒れた所で、法枠などの土木構造物を作ったり、木を植えたりすることによって土砂が流れ出すのを防ぎます。

護岸工(山田川護岸工)

渓流保全工(山田川渓流保全工)
川の流れを整えていくのが渓流保全工。大きく分けて2つの役割があり、1つは川岸が土砂や水にけずられないようにすること。もう1つは水や土砂を安全に流し、川の周辺や下流で災害が発生しないようにすることです。



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