神戸市長田区若松町周辺の延焼
(1月17日13時57分撮影)
平成7年1月17日未明、大都市のすぐ下で発生した震度7を記録する兵庫県南部地震は、6,400人を越える尊い人命と数多くの貴重な財産をうばいました。
六甲山地においても、西宮市仁川百合野町地区において地すべりが発生し、34名の犠牲者を出したほか、広い範囲で山腹崩壊や亀裂が発生しました。地震直後の調査では約1,400ヶ所に上る崩壊地が確認されました。
阪神高速道路3号神戸線の落橋 (西宮浜脇町付近) |
斜面崩壊とその後の拡大 左:平成7年5月 右:平成7年9月 (西宮市塩瀬町生瀬高台) |
このような大きな地震がおこった場合に、もっとも心配されるのは地震後の土砂災害によって被害がさらに拡がることです。六甲砂防事務所では、地震後の土砂災害を防ぐために、次のような緊急の取り組みを行いました。
西谷上流(平成8年4月)
西谷上流(平成7年1月)
○ ただちに危険な場所をチェック
地震が発生したその日から、土砂災害の危険がある場所をチェックし、砂防えん堤や護岸など砂防施設の被害の状況も調査しました。その結果、六甲山地の約1,400ヶ所に山崩れやがけ崩れなどが確認されました。
○ 緊急砂防工事
砂防えん堤などを建設
弁天鋼製枠砂防えん堤
(芦屋市)
杣谷山腹緊急工事
渦が森鋼製枠砂防えん堤
(神戸市東灘区)
地震後の土石流危険渓流調査などにより、とくに緊急的に工事が必要と思われる17の渓流では、短い期間でつくることができる鋼製枠の砂防えん堤を17基つくりました。そのほか2ヶ所で山腹工事、10ヶ所で被害を受けた砂防施設の復旧工事を行いました。
また、地形などの制約があって砂防えん堤がつくれない渓流では、すでにある砂防えん堤(12ヶ所)のたまっている土砂を取りのぞき、土砂石をより多く受け止められるようにしました。
≪地震後の対策工事位置図≫
宇治川沿いの矢部町に設置された
テレメーター雨量観測局(平成8年8月)
○ 雨量観測局の増設
より正確に土石流の発生等を予測するために、テレメーター雨量観測局を6局増やしました。すでにある10局とあわせて計16局で六甲山のすべての地域の雨量が観測できるようになり、これらの観測データは河川情報センター、気象協会を通じて地元の関係各機関へ送られ、避難勧告を出す時の判断材料に利用されています。
○ 土石流発生監視装置の設置
土石流発生感知装置(ワイヤーセンサー)設置概念図
地震後の土石流危険渓流調査で緊急の取り組みが必要と判断された危険な場所のうち、梅雨までに緊急的な砂防施設がつくれない17ヶ所に、土石流発生監視装置をつけました。
土石流発生監視装置は、ワイヤーセンサーとサイレンが組み合わさった装置です。土石流によってワイヤーが切断されると、サイレンが鳴って近くの住民に土石流の発生を知らせる仕組みになっています。また、自動電話通報装置で関係各機関にも、同時に土石流の発生が通報されます。
≪地域住民に土石流の発生を知らせるサイレンとワイヤーセンサー≫
土石流監視カメラ
○ 土石流監視カメラによる監視
住吉川に4か所、石屋川の鶴甲に1ヶ所、土石流監視カメラをおき、山崩れや崖崩れがおこりそうな場所の様子を常に監視しています。