瀬田川南郷洗堰100周年記念事業
旧瀬田川南郷洗堰保存検討第5回ワークショップ開催報告

 
    平成19年1月21日(日)に「旧瀬田川南郷洗堰保存検討第5回ワークショップ」が開催されました。第5回ワークショップでは、これまで議論してきました旧瀬田川南郷洗堰保存・利活用のアイデアや、昨年に実施しました『モデル試行』、『小学校を対象としたサテライトワークショップ』の結果を踏まえつつ、これからとりまとめていく旧瀬田川南郷洗堰の保存計画と利活用計画について議論しました。
第5回ワークショップで確認した事項と参加者の皆様よりいただきました様々なご意見を、当日のワークショップの様子とともにご報告させていただきます。
 

☆第五回ワークショップの概要
○日時 平成19年1月21日(日)
  ○会場 ウォーターステーション琵琶(アクア琵琶横)
  ○一般参加者 10名
  ○アドバイザー 岡田 昌彰(近畿大学理工学部 講師)
1 これまでの取り組みのふりかえり

第4回ワークショップの検討概要、モデル試行実施に向けた分科会活動やモデル試行の概要、小学生を対象としたワークショップ(サテライトワークショップ)の結果報告など、これまでの取り組みのふりかえりを行いました。

これまでの取り組みのふりかえり
2 保存・利活用計画についての説明

これからとりまとめていく保存・利活用計画(アクションプラン)の内容及び考え方について、事務局から説明を行いました。

 

保存・利活用計画についての説明

3 保存計画について

保存計画にかかわるこれまでの意見を整理するとともに、「旧洗堰周辺」、「旧洗堰自体」を利活用するためのハード整備(=保存計画)を検討するための基本的な事項について確認して頂きました。

■周辺の整備について

周辺の保存整備については、これまでの議論を事務局が再整理して提案した「案内サイン・説明版・解説板」「散策路・遊歩道」「視点場・広場」「緑化・修景等」の4項目に、「バス停・自転車置き場・駐車場等周辺施設」を加えた5項目が、「旧洗堰周辺」の保存計画の中で主に検討すべき基本事項となりました。

周辺の整備について
【 ワークショップであげられた、各項目に関連する意見】
案内サイン・説明版・解説板

・周辺も含めてサインのあり方を考えることが大切では
・旧洗堰がどこにあるのかわかるような案内板くらいは道路看板等ですぐ出来るのではないか
・旧洗堰は広く地域に貢献してきたものであり、役割や機能を旧洗堰周辺にとどまらず広く伝える工夫が必要
・景観の一環として屋外広告物の事も考えていかなくてはいけない
・大日山の掘削についての解説を現地で示すことできないか
・洗堰建築に至る背景、その他工事概略等について解説版が“現地”にあるとよい
・琵琶湖の大洪水(M29)の時にここまで水位が上がった事を示す施策できないか
など

【散策路・遊歩道】

・新洗堰右岸下流下についても桜の季節だけでも通れるように
・水辺協議会でも大日山の議論を行っている(水辺協議会と調整を図りながら検討。洗堰WSと連携を図ることが望まれる)
・新洗堰上の歩道が危険。自転車と歩行者がぶつかる。
など

【視点場・広場】

・視点場を設けてほしい
・水辺協議会でも大日山の議論を行っている(水辺協議会と調整を図りながら検討。洗堰WSと連携を図ることが望まれる)
・現在の広場の階段をなくして、スペースを広くする
・現在の階段状の広場を改修することは出来ないか(もう少し広く、植栽をしない等)
・バイパス水路の上からも洗堰を見れるようにするといいのでは
など

【緑化・修景等】

・水辺協議会で植栽の議論を行っている(水辺協議会と調整を図りながら検討。洗堰WSと連携を図ることが望まれる)
など

【バス停・自転車置き場・駐車場等周辺施設】

・洗堰のバス停、自転車置き場看板を一時的に整備
・車で来る人のことも考える。アクア琵琶駐車場から周辺のスポットに歩いて行くので十分。
・発電所も活用できないか
など

■旧洗堰自体の整備について

旧洗堰自体の整備については、利用形態(開放しない、一時利用、常時利用)によって、転落防止柵、補修・河床洗掘(健全度)、耐震補強(耐震性)等の仕方が異なることについて事務局が説明を行いました。 その説明を受けた上で議論した結果、旧洗堰の利用形態については、『無理にお金をかけて整備を行うことはふさわしくないし、現実的にも困難。今のところは一時利用でよい。』ということの確認を行いました。

旧洗堰自体の整備について
【ワークショップであげられた意見】
利用形態について

●安全の確保と利用は別であり、費用がかかることに関して国交省がどのように考えているかが重要
(⇒旧洗堰を保存するという点について国交省としても同じ思い。当然長期的には保存するための手段を考えるべきだと思っている。ただ、予算等の関係もあり、すべてをすぐにというわけにはいかないことをご理解いただきたい。)
●今のところは、一時利用という事で良いのではないか

・イベント時のみ開放すればよい
・整備が出来れば(将来的に)常時利用すれば良いのではないか
・最終目標を常時開放としつつ段階的に出来る事を行っていけばよい
・緊急にやらなければならない事をまず行う事が大切

・文化財として残すために必要な補強を考えれば良いのではないか
・開放するための補強なのか、洗堰を保存するための補強なのか
・洗堰を未来永劫残すのであれば、耐震補強もしなければならない

・常時開放の工事はお金がかかりすぎるのではないか
・大きな工事が出来ないのであれば、常時利用は出来ない
・補強工事の予算は可能なのかどうか
など

【その他】

・左岸右岸で使い方を変えてはどうか
・右岸側記念写真を撮れるくらいまできれいに

・まず、地域の人々に保存の重要性をPRする事が必要ではないか
・まつりなどと連携したPRが必要ではないか
・子どもたちにPRしていくことが大切ではないか
など

4 利活用計画について

  モデル試行(分科会)などで明らかになった今後の取り組みに向けた課題を受け、継続的な取り組みに向けた考え方についての説明を行いました。次回、具体的な内容について議論する予定です。
ワークショップであげられた意見

・地域をもっと抱き込まなくてはいけない
・祭りと連携を図っていかなくてはいけない
・予算がどれぐらいあるのかわからないと話が進まない

・夢を語る部分と現実に実現できる部分の落とし所を見極めることが大切

(河川事務所ができること、WSメンバーなどが主体的に行うことの役割分担が必要)

5 アドバイザーからのコメント

  アドバイザーの岡田先生から、今回のワークショップについてコメントをいただきました。
ワークショップであげられた意見

・今年度で終了ではなく、これから取り組み始まるという状態だと思う。
・堰の持っている物語(歴史・技術)。そういう価値を伝えていくことは大切。
・子ども達の意見には目を見張るものがある。心地良さやお洒落、食事、雰囲気などを洗堰に求めるというアイデアは必ずしも物語(歴史・技術)ではない。この世代の感性で堰に対する思いが出ているのではないか。そういった感性・意識は、我々(大人)は低い。
・ウォーターフロントの持つ心地よさは人を寄せるもの。まず、心地よさで洗堰に人を呼び込む事が出来るのではないか。
・地元の方だけでなくプロも加わった活動、地道な取り組みを継続させていく場やしくみがこれからも必要では。3月で終わる話ではなく、これからである。

岡田昌彰先生

岡田昌彰先生