瀬田川南郷洗堰100周年記念事業
旧瀬田川南郷洗堰保存検討第3回ワークショップ開催報告

 
    平成18年3月12日(日)に「旧瀬田川南郷洗堰保存検討第3回ワークショップ」が開催されました。歴史的・文化的価値を有する旧瀬田川南郷洗堰の価値を認識し、後世に受け継ぐための保存方法や今後の利活用の方法について、住民のみなさんとともに考えていこうとする取り組みの第3回目です。第3回目のワークショップでは、第1・2回目のワークショップで参加者から提案された旧洗堰の活用に向けたアイデアを具体的案として形にしていくことを目的に、議論をすすめていきました。
 

☆第三回ワークショップの概要
○日時 平成18年3月12日(日)
  ○会場 ウォーターステーション琵琶(アクア琵琶横)
  ○一般参加者 24名
  ○アドバイザー 岡田 昌彰(近畿大学理工学部 講師)
田中 尚人(岐阜大学工学部 講師)
現地視察
これまでのワークショップで提案された、“色々な場所から旧洗堰を見る”ことを実際に体験するため、「アクア琵琶の屋上から」、「船の上から」旧洗堰を視察しました。
アクア琵琶の屋上から旧洗堰をみる 船(一番丸)の上から旧洗堰をみる
アクア琵琶の屋上から旧洗堰をみる 船(一番丸)の上から旧洗堰をみる
船から見た洗堰周辺1
船から見た洗堰周辺2
討議の概要(抜粋)
 これまでいただいたアンケートや団体ヒアリングの結果及び第1回ワークショップでのアイデア等を整理し、保存・活用に向けた6つの視点を設定し、視点ごとに具体的なアイデアについて議論を行いました。
見て学ぶ、触れて学ぶ! 〜リアリティのある学び〜
・新洗堰の働き(水との闘いの様子)を見て学び、旧洗堰の果たして来た役割や歴史を学んでいくことが効果的ではないか。 ワークショップの様子
・角落しの体験イベントを開催したり、角落しの角材を使ったベンチを設置したり、触れて学ぶ工夫も大切である。
・見て学ぶ、触れて学ぶ拠点として、旧洗堰左岸下流側のテラスや新洗堰右岸下流側の橋詰に、説明サインや角落しの角材を使ったベンチを設置することが考えられる。
憩いのイベント開催! ワークショップの様子2
・イベントにあわせて、左岸側の旧洗堰周囲に台船(仮設)を設置したり、旧洗堰左岸上流側に川床を張り出したりして、能やジャズコンサートの開催、オープンカフェの設置などを行っても良い。ただし、台船や川床の設置はイベント時の仮設として、普段は景観を阻害しないようにする。
南郷バス停を人の憩える空間に(「水の駅プロジェクト」)  
・右岸側バス停を、壁が無い開放的であずまや風のものに作り変え、南郷の玄関口として人が憩える空間(休憩所)、観光案内所を兼ねたスペースとして活用する。  
・バス停に案内板を併設。案内板は現在あるものより内容の充実が必要。(南郷地域の観光施設が一目でわかるマップ、左岸側(アクア琵琶などの施設)についての紹介、旧洗堰建設に至った経緯(洪水の歴史、治水の歴史)や新洗堰の役割などを小・中学生にも分かりやすく写真やイラストを交えてビジュアル的に表現したものなど)  
南郷で実施されている「祭り」と連携 ワークショップの様子3
・毎年5月に開催される「船幸祭」、7月末に開催される「南郷公園夏祭り」と連携させた洗堰をテーマにしたイベントを開催。
・5月には旧洗堰の両岸にかかる「航行禁止」のロープに鯉のぼりを並べてみてはどうか
ライトアッププロジェクト
・連歌の美しい旧洗堰の下流側を“表”、上流側を“裏”として、“表”はライトアップされた堰そのものを、“裏”は間からこぼれる光が生み出す旧洗堰のシルエットの美しさを、新洗堰や上流方向右岸側から鑑賞する。 ワークショップの様子4
旧洗堰“舞台”プロジェクト
・旧洗堰の管理橋の上に、少し嵩上げした舞台を設置すれば、その上で演奏等が行える。
・上流側は、仮設ベンチや堤防を階段状の河川構造物として整備することなどで、観客席を設けることができるのでは。
旧洗堰の残し方について  
・「建設当時の状態を復元しレンガ色を再現すること」と「時を経てきた歴史を大切にするため、汚れ(コケなど)を落とさず、今の状態で残す」こと、双方大切。  
アドバイザーからのコメント
 アドバイザーの先生方から、旧洗堰や今回のワークショップについてコメントをいただきました。
・「遠くで見たとき、調和しすぎて見えない」という意見は大事な視点。調和しすぎて埋没してしまっている。埋没すると無視されてしまう。
⇒埋没してしまわないためには、「至近距離で見る」「(ライトアップなどで)浮かび上がらせる」「堰の意味を浮かび上がらせる」といった視点がある。
⇒「至近距離で見る」ためには、「近くまで来てもらえる空間整備」「近くに行くチャンス・きっかけづくり(客寄せのためのきっかけづくり)」「そこに滞留させる装置」が必要。
・清掃(維持)に関する考え方として、「洗って昔の姿に戻す」という「当時の価値」「モノへの価値」といった考え方と、「自然の汚れはそのまま」という「エイジング・移ろいの価値」といった考え方がある。
・洗堰は使うことのできる文化財であり、度量の深いインフラストラクチャーである。その文化財を使うということが出来る人々がいる地域であることが良いところ。積極的に考えて“作らない”ということを考えていくことも大切。
⇒(考案していた台船の設置をとりやめたという発表があったが)意識して作らないのと、意識せずつくらないのでは意味が大きく異なる。同様に、考えて洗堰を残すのと考えずに残すのでは異なる。
・今後、子供達や現在の参加者より低い年齢の人々が参加すればよいのではないか。
・今後、会議を続けていく上で、何かロゴマークのようなものが必要。
岡田昌彰先生 田中尚人先生
岡田昌彰先生 田中尚人先生
■ふりかえりシートのご意見

 参加者に今回のワークショップの感想などいただきました。主な意見を紹介します。

<視察について>
・一番丸に乗船して、違った角度から旧洗堰を見られてよかった。水の流れに沿って見る景色は川と岸の関係を考える役目も果たしてくれる。
・60数年ぶりに船上より洗堰を見て感無量であった。かってのピーヤは目立つことなくちょこっと両岸に鎮座して世の流れを語っていた。将来もし大日山の山頂から瀬田川を俯瞰眺望が可能になれば洗堰と連動した強力な観光スポットになるであろうと想像しました。
・船からの景色は印象的でした。やはり船を利用し、そこで堰の重要性を説明するのが有効なやり方だと思いました。
<感想等>
・生活を守ってきた治水のシンボルだと思います。きっちりと残し、先輩、後輩に治水を受け継ぐべきだ。
・皆さんの考えや夢的な発想を大切に旧洗堰を多くの方に知ってもらえるようもっと検討が必要。
・知らないことがいっぱいで、大変勉強になりました。(洗堰の大切さなど)再確認出来ました。ありがとうございました。
・一回しか参加できなかったが、参加者の想いに感動しました。4回目以降も参加したい。

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