瀬田川南郷洗堰100周年記念事業
旧瀬田川南郷洗堰保存検討第1回ワークショップ開催報告

 
   平成18年1月8日(日)に「旧瀬田川南郷洗堰保存検討第1回ワークショップ」が開催されました。このワークショップは、歴史的・文化的価値を有する旧瀬田川南郷洗堰の価値を認識し、後世に受け継ぐための保存方法や今後の利活用の方法について、住民のみなさんとともに考えていこうとする取り組みです。第1回のワークショップは、旧瀬田川南郷洗堰を見て、知って、思いを語り合うことをテーマに行いました。
  参加者の皆様よりいただきました様々なご意見を、当日のワークショップの様子とともにご報告させていただきます。
 

☆第一回ワークショップの概要
○日時 平成18年1月8日(日)
  ○会場 ウォーターステーション琵琶(アクア琵琶横)
  ○一般参加者 19名
  ○アドバイザー 岡田 昌彰(近畿大学理工学部 講師)
田中 尚人(岐阜大学工学部 講師)
■旧洗堰について知る
 参加者の皆さんに、旧洗堰について知っていただくために、旧洗堰の概要、歴史等について説明を行ないました。また、アンケート結果等について報告しました。 洗堰の説明を聞き入る参加者のみなさん
■旧洗堰をみる
 実際に旧洗堰を見ていただくために、参加者全員で現地の視察を行ないました。
旧洗堰の視察1 旧洗堰の視察2
■旧洗堰の “思い”を語る
 旧洗堰に対する各々の“思い”を語っていただきました。
旧洗堰の思い出
・川遊び、魚とり、生活 (旧洗堰を全閉したら、水かさが増えて、大きな鯉が釣れた)
(はちを網で取って、てんぷらにして食べていた)
(昔は、川で洗濯できたし、魚をとれた)
・洗堰周辺の想い出 (小学生の頃、遠足で洗堰によく来ていた)
  (かつては護岸がなくて水辺まで下りることができた)
・旧洗堰を“ピーヤ”と呼んでいた (語源は、pier(はとば)、wier(堰)か?)
  (いずれにしても、洗堰周辺か、地域の人の記憶に残った場所だと思われる)
保存・活用する目的
・建設の背景や目的、竣工までの苦労話など、旧洗堰にまつわる歴史を後世に伝えたい。
・旧洗堰周辺をゆっくりとくつろげる、落ち着いた癒しの空間としたい。

・重要文化財の選定を目指す。(今回のワークショップの盛り上がりがきっかけとなればよい)

保存・活用に向けた課題・配慮事項
・旧洗堰のことが一般に知られていない。
・地域の大きな遺産なのに子どもたちにきちんと伝えきれているか疑問。
・人が見に来るような宣伝・仕掛けが必要。
・車との共存方策を考える。(現状では、周辺道路の交通量が多くて落ち着かない。)
・地域の資源として地域住民が主体的に保存に向けて活動する。
・地域の資源として地域住民が主体的に保存に向けて活動する。
(地域住民が動けばもっと脚光を浴びるのではないか)
・他の土木遺産の活用事例に学び、活用方策を検討する。
発表の様子 出来上がった模造紙(その1)
発表の様子 出来上がった模造紙(その1)
保存活用に向けた具体的な提案
旧洗堰を広く伝える
・旧洗堰の現役時代の写真を探して展示する。
(洗堰が現役だった頃の写真は探せばもっとあるはず。PRにもつながる)
・体験談により伝えていく。(実際に体験した人の話を聞ける機会を作る。人材を確保する)
・洗堰の役割を伝える。(単に景観としてだけでなくどういう役割を果たしてきたかを伝える)
・洗堰に関わった人々や歴史等を伝える。
(新洗堰完成当時は古い物は失くそうという風潮だったので、旧洗堰がこれだけ(1連、6連だけでも)残っているのは立派!当時残そうと主張した人をもっと称えるべきだ!)
(社会、経済など洗堰の時代背景を年代を追って知りたい)
周辺施設の整備
・船でアプローチできるようにする。
(石山駅付近から船で来られるようにしたり、船内で洗堰や周辺の解説行なったり、観光船などとの連携を進めて洗堰を観光資源として活かす。)
・景観を活かす。(大日山を登りやすくして、洗堰の眺望景観をウリにするなど、周辺と調和した個性的な景観資源として洗堰を活かす。)
・水がきれいになるような砂浜や桜並木など昔の風景を取り戻してみては?
イベントの開催・100周年記念冊子の出版
・旧洗堰とその周辺を活用した文化イベント等と連携して、一体的な取り組みを進める。
(洗堰周辺を文化的空間として活用していきたい。能の舞台などと連携したイベントを開催してはどうか。)
・100周年にあたって、旧洗堰に関する冊子を出版しては? (歴史、災害記録、当時の写真、語り部の記録など)
出来上がった模造紙(その2) 出来上がった模造紙(その3)
出来上がった模造紙(その2) 出来上がった模造紙(その3)
アドバイザーからのコメント
 アドバイザーの先生方から、旧洗堰や今回のワークショップについてコメントをいただきました。
・積極的に議論が交わされ、旧洗堰に対する皆さんの思いの大きさが分かった。
・“ピーヤ”という呼び方をされていたが、これはニックネームともいえる。それだけ住民に親しまれていたことのあらわれだと思う。
・昔あった魅力をとりもどすとともに、現在の価値を考えていくことが大切。“いやしの空間”という議論があったが、これがこれからの価値にあたると思う。
・はじめて訪れた人でも分かる価値は何か、考えていくことが大切。
・地域の人たちが持っている様々な資料があると思われる。旧洗堰を作っている当時の資料はあるが、使っている資料はなかなかない。写真などでなく、“ピーヤ”のように、みなさんの心の中にも残っていることを文章にするだけでも良い。これらを探ってみると面白い。
岡田昌彰先生 田中尚人先生
岡田昌彰先生 田中尚人先生
■ふりかえりシートのご意見

 参加者に今回のワークショップの感想などいただきました。主な意見を紹介します。

・洗堰に関しての様々な人の思いを知り、ますます重要な建造物であることを再確認しました。
・昔の話や洗堰に対する思い話等を聴けて、洗堰に思い入れの強い人が多い事を知り驚きました。
・旧洗堰の中に入れ角材の溝等実際に見せていただいて楽しかった。
・具体的にどういうふうに整備されて行くのか想像するだけで楽しみが増します。
・建設当時の写真が残っていたことに驚いた。
・写真や資料集めなど、できることをお手伝いしたい。

ページの先頭へ  メニューページへ