<前文略> 1.実施時期
琵琶湖総合開発事業 昭和47年度〜平成9年3月 このうち、琵琶湖開発事業(琵琶湖治水及び水資源開発)は平成4年3月まで。
2.事業の概要
琵琶湖総合開発事業は大きく次の3本柱によって構成されています。
1)琵琶湖の水質や恵まれた自然環境を守るための「保全対策」 - 下水道、し尿処理施設、畜産環境整備施設、農業集落廃水処理施設、ゴミ処理施設、水質観測施設
- 都市公園、自然公園の整備など
- 道路、港湾整備
2)淀川及び琵琶湖周辺の洪水被害を解消するための「治水対策」 - 瀬田川の浚渫、琵琶湖湖岸堤整備、内水排除施設整備
- 河川改修事業、ダム事業、砂防事業
- 造林事業、林道事業、治山事業
3)琵琶湖の水をより有効に利用できるようにするための「利水対策」 - 水道整備、工業用水整備、土地改良事業
- 水産資源の維持増殖、漁場環境の整備、生産流通加工施設の整備、拠点的漁港の整備、漁業者の生活再建のための必要な措置
- 淀川下流域の水供給に必要な水資源開発、湖水位の低下に伴う影響に対処して、必要な諸機能の維持対策、生活再建措置、不測の事態に対処しての適切な対策
3.事業の目的
「琵琶湖の恵まれた自然環境の保全と汚濁しつつある水質の回復を図ることを基調とし、その資源を正しく有効に活用するため、琵琶湖およびその周辺地域の保全、開発および管理についての総合的な施策を推進することにより、関係住民の福祉と近畿圏の健全な発展に資することにある。」としています。 4.予算・決算金額 事業期間(S47年度〜H8年度)における総事業費は、1兆9,055億円です。 5.事業の効果
事業完了当時にまとめられた「琵琶湖総合開発事業25年のあゆみ」より抜粋すると以下のようになります。 - 治水上の効果
瀬田川疎通能力の増大、湖岸堤建設による浸水防除、内水排除施設の建設による沿湖の湛水位低下・湛水時間軽減、流入河川改修による氾濫・浸水の軽減および湿田の乾田化、ダム建設による洪水調節や流況安定といった直接的な効果があります。また、砂防、治山、造林といった治山事業による土石流の発生や流出抑制など安全で安心できる暮らしとまちの形成に向けても役割を果たしました。 - 利水上の効果
滋賀県及び下流府県にとって長年にわたる念願であった安定的な水供給が得られるようになりました。滋賀県では広域的かつ合理的な水道整備が行われ、整備率も全国水準を上回るようになり、県民生活の向上に役立っています。一方、地下水くみ上げ量を抑制することによって、地盤沈下抑制のほか湧水保全にも寄与しています。下流府県では、淀川から取水している府県などに新たに毎秒40立法メートルの水利権が付与され、安定取水が可能となりました(水利権が付与される以前は、淀川に取水量を十分まかなえる流量が流れていないときには、取水することができなくなり、不安定な取水を余儀なくされていました)。 - 全般的な水質保全対策面からの評価人口の増加率や1事業所あたりの出荷額の増加などに見られるとおり環境に及ぼす影響は増加傾向にあると思われます。しかし、下水道や農業集落排水処理施設の整備といった水質保全事業の推進によって、そういった汚濁負荷量が大きく軽減され、琵琶湖に流入する河川の水質、特に南湖に流入する河川の水質改善が顕著に見られました。
6.琵琶湖の面積は約674平方キロメールあります。従いまして、琵琶湖の水位1cm分の水の量は、約674万立方メートルということになります。1日の水の使用量については、約600万立方メートルです(内訳は以下のとおり)- 上水道:約420万立方メートル(=1400万人×1日300リットル)
- 工業用水:約180万立方メートル(=水利権量1日分)
従いまして、琵琶湖の水位1cm分「674百万立方メートル」は、1日の上水道・工業用水の使用量を上回るということになります。
なお、詳細な内容は上記の「琵琶湖総合開発事業25年のあゆみ」に記載されており、ホームページ上でご覧になれます。アドレスは下記のとおりです。 http://www.pref.shiga.jp/d/suisei/documents/gaiyou.html |