第10回紀の川流域委員会は8月9日(金)橋本商工会館において全委員23名中14名の出席のもと実施された。 |
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1.庶務からの報告 |
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審議に先立ち庶務より以下の報告があった。
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- 小田委員から「紀の川流域委員会」の委員の解任願が提出された。
- 前回の委員会で委員から「議事録から河川管理者の発言内容が抹消されている箇所がある」との指摘があったが議事録は、マイクを通した録音テープ並びに速記録から発言内容を確認して作成しており、録音テープ並びに速記録には指摘の様な事実はなかった。
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この報告に対して、議事録の改ざんを指摘した委員から次のような意見があった。
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- 当委員以外にも傍聴者の何人かが、当該発言内容を確認しており、当該発言内容を抹消した第7回委員会の議事録を公開する際は、議事録の内容について認めていない委員がいる旨を記載すること。
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2.紀の川河川整備計画について(治水の現状と対策案) |
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河川管理者から大滝ダム(H14完)完成後において、例えば昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)と同規模の降雨が発生した場合の課題と対策案について説明があった。主な対策案は次のとおり。 |
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それぞれに対する主な意見等は次のとおり。 |
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- 遊水地の候補地を調査した。安田嶋や島地区は、地元住民からすると氾濫するのが当たり前という意識がある。こういうところを遊水地として考えてみればどうか。
→本日の説明は人家の立地のない箇所を抽出している。安田嶋地区については建物が147戸立地しており、現在はこの人家を守るために築堤する考えである。
- 最近、安田嶋において病院等宅地化が進んでいるが、連続堤ではなくそれらの宅地のみを守る小規模な対策だけで遊水地として利用できるのではないか。
- 人家の立地のないところで遊水地を抽出すると場所が限られ、河川審議会の中間答申にある氾濫を許容する計画にはならない。人家があるから遊水地として使えないと言うことであれば、今後の展望が望めない。
- かつて氾濫していた場所に家が建っているのであれば、当該箇所が農業振興区域指定の有無の確認と、農振法上の取り扱いがどのようになっているのか情報が欲しい。
→次回提示する。
- 氾濫想定区域は、公表されているのか。
→浸水想定区域が公表されている。
- 用途地域が指定されていても建築規制等をかけるのは限界があると思う。建築制限等をかけるのは実質的には市町村である。紀の川沿川は都市計画区域に入っている事を確認したので、現在都市計画マスタープランを策定中であり、本資料をもとにそちらの方も検討してもらうようにしたい。
- 本日河川管理者から提示があったところ以外も含め各々の地区の遊水地としての効果と実現性および制約条件を調べていただきたい。
- 遊水地候補地の現地視察をしてはどうか。
- 近年、洪水の被害を受けているところは、新しい住宅が多いので、宅地を嵩上げする等、昔の人の知恵を生かす対策が必要である。
- 地域の防御対策を地形状況からみるには、最低でも1/2500レベルの地形がわかる図面で詳細に調査していかないと判らない。
- 狭窄部対策をすることは洪水対策の視点では必要だが、利水上の安定性、環境・生態系の多様性の視点では矛盾する。
- 貴志川の諸井堰下流では渇水時に瀬切れが生じていた。渇水時にも流量が途切れないような堰の改築が必要である。
- この改修に対して、昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)以上の洪水において、どれくらいの安全度があるのかを次回に示していただきたい。
- 今回の説明資料の中に洪水に対する対策が出ているが、この対策は、必要最小限なのか。
→昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)の場合の対策であるので、目標流量が変わればこれ以外の対策も考えらる。
- 橋本川が増水するようになったのは上流の宅地開発が原因なのか。改修の時期と理由について教えていただきたい。
→元々改修が必要だったのと上流の宅地開発の両方からである。改修年度については次回報告する。
- 外水問題だけではなく内水問題もセットで考えていく必要がある。
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3.紀の川流域委員会勉強会の報告 |
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養父座長から8月1日(木)にJA会館で行われた、紀の川流域委員会勉強会についての報告があった。主な内容は次のとおり。
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- 座長代理について
・座長代理は神吉紀世子委員を指名した。
- 紀の川流域委員会勉強会の進め方について
- 紀の川水系工事実施基本計画について
- 次回開催について
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それぞれに対する主な意見等は次のとおり。 |
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- 勉強会では研究者グループの説明は「必要ない」となったが、研究者グループからの質問はどこですれば良いか。
⇒勉強会で呼ばないという事になったのなら、必要性を認める委員自身が研究者グループの質問を明らかにし、お話になれば良いと思う。
- 16,000m3/sがおかしいと思っていたので、研究者グループに勉強会で説明してもらい、委員の方にも理解してもらいたかった。しかし、他の委員が説明の必要がないという事であれば仕方がない。
- 研究者グループが納得していないという言い方であったので「必要ない」と勉強会で発言した。勉強会ではまず、委員が理解を深めることが大事である。
- 委員が「必要だ」という認識で合意に至れば、専門家に参加してもらえばよい。
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4.次回の開催内容について |
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次回の委員会の開催日等は次のとおり。 |
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- 開催時期は9月中旬頃で調整する。
- 開催場所は和歌山市内とする。
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次回の開催内容は次のとおり。 |
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- 遊水地の効果と制約条件と実現性について。
- 昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)以上の洪水における安全度について。
- 狭窄部箇所及び掘削箇所における環境上の課題について。
- 各委員から紀の川を取りまく環境について提案していただく。
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5.その他 |
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小田委員の解任について |
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- 紀の川流域委員会準備会議委員で選定する。
- 選定については、プライバシーの問題があるので非公開とする。
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6.一般傍聴者からの意見 |
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- 勉強会の報告によると研究者グループからは、意見も聴き、回答もしたとなっていますが、どこで回答したのでしょうか。
⇒近畿地方整備局からの回答資料がある。
- 研究者グループの要請書に対する回答は一切されていない。
- 河川整備計画で定める中期的な目標流量については、この流域委員会で決める内容であり、中期計画と長期計画の整合性を図る必要があるが、整合性がとれていない。具体的には、長期計画における昭和34年9月洪水(伊勢湾台風)実績雨量の流出量7,820m3/sという値を旧建設省から入手しており、委員会での伊勢湾実績雨量の流出量9,970m3/sとなっている。整合性がとれていない理由を回答し、資料を頂きたい。
- 研究者グループからの要請書に対して、委員長は「河川管理者が答えるべきだ。」と主張されているが、判断は河川工学を専門にされている委員長がすべきである。
⇒委員会の委員長としては、工実の基本高水に関する事項についてお答えする範疇にない。
目標流量の設定について整合性がとれていないのは流出解析に当たっての設定条件の違いである。目標流量の計算条件については開示する。
- 30〜40年前に人家の立地がなかった。安田嶋地区は人家の立地があるのは極一部であり、その地区を外せば遊水地として活用できるのではないでしょうか。築堤すれば人家が立地し遊水地がなくなるので、築堤を止めて遊水地の検討をしていただきたい。
- 今後の進め方として、紀の川の上流には農水省の管理するダムがある。また、環境省はデータを取り始め、環境白書を出している。トータルな議論として農水省や環境省のメンバーも参加させて議論すべきである。
- 河川管理者によると、平成12年12月の河川審議会の中間答申では、「氾濫を許容するものではない」と説明されたが、新聞記事では「治水氾濫前提に」「そのためには発想の転換が必要だ」と理解されています。現場の河川管理者はどのように理解しているのか。
- 朝日新聞記事の「答申をもとに描いたこれからの治水のあり方」に対して、委員会資料-1に示されている様に河川管理者はこれからの治水対策として依然としてダムを念頭においている。平成12年12月に出された河川審議会の中間答申に対する現場での理解はこの程度のものである。国土交通省の考え方として最初から遊水地はない。河川審議会の中間答申を謙虚に理解していただき、21世紀の治水、自然環境を守り住民とともに考えていく治水を考えていただきたい。
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