委員長 中川博次
第6回紀の川流域委員会は平成13年12月20日(木)和歌山ビッグ愛において全委員23名中22名の出席のもと実施された。
1.紀の川の現状説明について
河川管理者から、紀の川の現状(「環境」)について説明があった。主な内容は次のとおり。
環境
・水質の現状について
・生物の現状について
・景観について
・環境保全対策について
・河川利用の現状について
上記の説明に対して特に意見等はなかった。
2.各委員からの質問について
河川管理者から、前委員会で委員の質問についての説明と、庶務から報告があった。
主な内容は次のとおり
紀の川水系工事実施基本計画(治水)
・紀の川における治水計画の経緯について
・工事実施基本計画と河川整備基本方針
・河川整備計画の関係について
・紀の川水系工事実施基本計画について
・工事実施基本計画の説明について
伊勢湾台風(S34.9)における土砂災害等
・土砂災害について
・災害地区の変遷について
・伊勢湾台風がもたらした土砂災害について
・紀の川上流の砂防関係危険区域について
紀の川の洪水時の流速
・洪水時の流量観測方法について
・過去の出水の実測値について
大滝ダム洪水調節容量
・第1期洪水調節容量について
・第2期洪水調節容量について
紀伊丹生川ダム調査に対する予算執行状況
・年度別事業費について
・予算使用実績について
・年度別調査内容について
岩畑委員からの資料請求に対する回答
それぞれに対する主な意見は次のとおり。
紀の川水系工事実施基本計画(治水)
・河川砂防技術基準(案)によると引き伸ばし率は、「2倍以下にするのが望ましい。」となっているが、昭和47年9月の台風20号の引き伸ばし率は、2.32倍となっているのでその理由を説明して欲しい。
→河川砂防技術基準(案)では、「地域分布や時間分布を考慮して」となっている。紀の川では、地域分布や時間分布を考慮したうえで昭和47年9月台風20号の引き伸ばし率を2.32倍としている。
・計画降雨量への引き伸ばし率は、降雨制限方式を採用しているので単純に2.32倍に引き伸ばしていないのですね。
→降雨制限方式を採用しているため、単純に引き伸ばした2.32倍ではない。降雨制限を越える雨については、他の流域や他の時間に振り分けている。
・主要7洪水の比流量を教えて欲しい。
→比流量の最も小さいのが昭和36年10月で4.5m3/s/km2、最も大きいのが昭和47年9月で10m3/s/km2となっている。
・ハイドログラフの算出においては、流域平均とブロック毎のどちらで算出しているのか。
→昭和47年9月台風20号では総雨量を2.32倍し、降雨制限方式を用いてブロック毎の降雨ハイエトパターン等で算出している。
・主要7洪水は、降雨制限方式で計算しているのか。
→降雨制限方式で計算している。
・定数検証で流量の実測値を用いる際は、氾濫を考慮しているのか。
→基本的には考慮していない。
・昭和47年9月のハイエトグラフのピーク雨量が非常に大きいためピーク流量が非常に大きくなるのではないか。今後そのようなものも含めて議論していけばよい。
・工事実施基本計画の修正は、この委員会の範疇を超えているが、河川整備計画を策定する上で支障があれば修正の提案をするという形で進める。
・昭和36年9月第2室戸台風を対象として計画降雨量で算出した場合、基本高水流量は15,700m3/sとなり、船戸地点の基本高水流量16,000m3/sは変わらない。
伊勢湾台風(S34.9)における土砂災害等
・伊勢湾台風程度の洪水の場合、土砂災害が発生すると河床が上昇し、流下能力が不足するため、河川整備計画を策定する上で土砂や流木等の災害にも配慮が必要である。
・現在の雨量観測所の配置は、十分な配置になっているのか。
→ティーセン分割の目安である50〜100km2/箇所は満足しているが場所・密度等を今後見直す必要があるかもしれない。
→今後は、レーダー雨量等を利用した面的なデータ分布の整理と利用方法を検討したい。
・ 流量と降雨との関係において信頼性が高まるように解析し、管理する方法を考えて欲しい。
大滝ダム洪水調節容量
・資料のハイエトグラフは、大滝ダム地点のものか。
→船戸地点における1/150の計画降雨に対応した昭和34年
紀伊丹生川ダム調査に対する予算執行状況
・予算使用実績の詳細について次回委員会に提出する。
・継続調査項目と断続的調査項目の違いは何か。
→水文観測や水質観測等は、継続的に実施している調査であり、環境調査等は、調査範囲や時期等を考慮して実施している調査。
・環境調査で同じ調査を平成2年と平成13年に行うなど重複があるが、調査結果に差が出るのではないか。
→同じ調査であっても、それは経年的な変化を調査している。経年的変化も調査としては必要である。
・計画的な調査を実施すべきであるが、今回はどのような計画を立案して実施しているのか。
→今までの調査は閣議アセスを念頭に、これからの調査はアセス法を念頭においた調査となっている。
・年月が経ってもデータが有効に使えるような調査計画を立案してほしい。
・以前、紀伊丹生川ダムの調査において発見された「キバネツノトンボ」を和歌山県レッドデータブック掲載に推薦したと記憶しているが参考資料に記載されていないのはなぜか。
→確認する。
3.次回の開催内容について
中川委員長から今後の紀の川河川整備計画の進め方においての基本的な考え方について説明があった。
主な内容は次のとおり。
・長期計画との整合を図りつつ、20〜30年間の中期計画に対する答申を作成する。
・河川整備計画を策定する上で、河川整備基本方針に対しても意見を述べることも考えられる。
次回の開催にあたって、各委員から次のような意見があった。
・委員会は、毎回、説明ばかりで河川管理者主導の委員会になっている。もっと、具体的な議論を行わなければならない。 →委員からの説明要望により工事実施基本計画の説明を行っている。河川管理者の意見を入れているのではない。
・資料を委員会当日渡すのではなく事前に送って欲しい。
→委員会の一週間程度前に届くように努力する。
・治水・利水・環境のいずれかから議論を進めていかなければならないが、先に出た個々の方針についても、フィードバックで出きるようにして欲しい。
→フィードバックを行いながら議論する。
次回の開催内容は次のとおり
・次回の開催内容は、治水に関する前提条件の整理をする。
・開催時期は2月の初旬、開催場所は岩出町で調整する。
4.水郷水都全国会議の報告に対する質問と回答について
中川委員長から水郷水都全国会議の報告に対する回答について説明があり、それに関する主な意見は次のとおり。
・紀伊丹生川ダムの審議をどの時点で行うのか教えて欲しい。
→次回以降の委員会で、具体的な整備計画を議論していく中で必然的に紀伊丹生川ダムの必要性が議論されるものと考える。
・ダム審議会の位置付けは、どのようなものか。
→当時、全国的にダム事業について再評価をする目的で実施された。
5.一般傍聴者からの意見
10月27日に開催された水郷水都全国会議で、中川委員長が講演を行い、流域委員会の役割、趣旨、経過、活動について紹介した。
・淀川水系流域委員会では、市民の意見を取り入れて委員会が進められており、この仕組みを参考にして欲しい。
・新聞報道では、委員会の要請を受けて紀伊丹生川ダム建設予定地においてボーリング調査が実施されているとあるが、委員会で要請したのか。
→委員会では要請していない。
・現在強引に調査を実施しているが、同意を得てアセス法に基づいて調査を行って欲しい。
・今の委員会の進め方は間違っている。新しく委員を加えるか、他省庁を加えて欲しい。委員会における関係者の構成を農林省1/3、環境省1/3、国土交通省1/3として欲しい。また、文化財に詳しい人も加えて欲しい。この構成にできないのであれば、その理由を説明して欲しい。
・明治28年からの船戸地点の最大流量を提示して欲しい。
・紀の川の水利用で農水の利用が80%もあると説明しておきながら、農水の取水実績が示されていない。また、20年前に計画された水需要計画に用いられている、農水・工水・上水の利用実績をグラフだけではなく数字で示して欲しい。
・地すべりや土石流が多いところになぜダムを造るのか。
・将来的なビジョンが見えない。
・工事による川の汚れにより生態系がかわる恐れがあるが、この汚れについての対処はどのように考えているのか。
・この委員会では、20〜30年間の整備計画だけではなく、100年先まで考えた議論をして欲しい。
・コンクリートダムが本当にいいのか。
・環境について議論する際は、魚道の管理についても考えなければならない。
・河道を掘削することで流せる流量を増やすことができ、ダムは必要なくなるのではないか。
・魚道が河川管理者で管理されていない。漁協のための施設になっているのは問題である。
・水需要が減少した場合には、ダムの縮小を検討して欲しい。
・水上バイクによる水質汚濁を認識し議論して欲しい。
・下流に砂が溜まると言う話があったが、どのような砂が溜まるのか教えて欲しい。
→一般の方からの意見については、次回までに整理して回答させていただきます。
この議事骨子は、委員会終了後に速やかに審議内容が公開できる様に取りまとめたものです。従って、今後議事の詳録を作成する上において、修正等が加わることがありますが、その際は、ホームページ上で修正箇所等を明らかにした上で再掲載を行いますのでご了承下さい。
次回、第7回紀の川流域委員会は、2月に岩出町で開催される予定です。詳細は、決定次第ホームページに掲載します。 |