―平成 20年度―

■紀の川大堰関連魚道調査・速報(6月)

1.調査実施内容 表 1調査実施内容

左岸 右岸
調査実施日 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道人工河川式魚道 階段式魚道 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道 人工河川式魚道 階段式魚道
平成 20年 6月 19日
平成 20年6月20日

注)調査時間は7:00~21:00である。

2.調査方法
●遡上魚調査 魚道の出口付近(上流端)に箱型トラップを設置して、遡上魚を捕獲し、魚種や遡上数を把握した。 なお、調査にあたっては、遡上を完全に妨げないように魚道の 1/3を開放し、目視調査によって遡上数の補正を行った。また、捕獲した個体は、調査後速やかに放流した。
●魚道周辺の魚介類調査 投網・タモ網・カニカゴを用いて、魚道入口および中間付近にみられる魚介類の把握を行った。

3.調査結果 確認された魚介類の個体数および種数について、各魚道の内訳を表 2に、一覧を表 3に示す。

●魚道周辺で確認された魚介類は合計 21科 42種で、うち遡上した魚介類は合計 8科 19種であった。
●遡上が確認された魚介類は513個体で、そのうち最も多く遡上したコウライモロコは144個体と、全体の約28%を占めた。
●アユの遡上は、階段式魚道が最も多く、全体の63%となっており、次いで人工河川式魚道が29%、デニールボックス付バーチカルスロット式魚道が8%であった。
●重要種としては、ウナギ(環境省:情報不足)、ゲンゴロウブナ(環境省:絶滅危惧ⅠB類)、ハス(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)、メダカ(環境省:絶滅危惧Ⅱ類、和歌山県:準絶滅危惧)の計 4種が確認された。ただし、ゲンゴロウブナは本来琵琶湖原産であり、移植放流による個体である可能性もある。
●外来種はタイリクバラタナゴ、ブルーギル、オオクチバス(ブラックバス)、スクミリンゴガイ、コウロエンカワヒバリガイの計 5種が確認された。

表 2各魚道にて確認された魚介類の個体数および種数

左岸 右岸
デニールボックス付バーチカルスロット式魚道 人工河川式魚道 階段式魚道 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道人工河川式魚道 階段式魚道
個体数 52(23) 210(91) 237(89) 46(22) 590(258) 155(30)
種数 11(9) 27(9) 18(9) 10(8) 21(6) 13(6)

注)( )内は、箱型トラップおよび目視により遡上が確認された魚介類の個体数

100% 90% 80% 70%

デニールボックス付バーチカルスロット式魚道

60%

人工河川式魚道

50% 40%

階段式魚道

30% 20% 10%

※グラフ内の数字は個体数

0% 左岸右岸合計

図 1各魚道・左右岸別のアユ遡上数

4.各魚道の状況

表3 魚道およびその周辺で確認された魚介類の一覧(6月)

左岸右岸
デニールボッデニールボッ
区分科名種名クス付バーチ人工河川式階段式クス付バーチ人工河川式階段式
カルスロット魚道魚道カルスロット魚道魚道
式魚道式魚道
1魚類ウナギウナギ3 2
2コイコイ1 40 1 (1)
3ゲンゴロウブナ1 (1) 1 (1) 2 (2)
45ギンブナ3 1 (1) 2
フナ属7
タイリクバラタナゴ2
6ハス1 (1) 1 (1)
7オイカワ1 (1) 1 3 (3) 3 (3)
8ニゴイ属7 (7) 2 (1)
910コウライモロコ3 (3) 14 (13) 18 (18) 284 (110)
コイ科 -1
ドジョウドジョウ7
11ナマズナマズ2
12アユアユ4 (4) 11 (10) 39 (39) 3 (3) 16 (16) 19 (19)
13メダカメダカ2
14スズキスズキ2 (2) 1
15ユゴイユゴイ1 (1)
16サンフィッシュブルーギル1
17オオクチバス(ブラックバス)4
18タイクロダイ1
19ボラボラ1 (1) 7 75 1 (1) 1
20ハゼカワアナゴ2 1 (1) 1
21ボウズハゼ8 (5) 10 (8) 5 (5) 2 (1) 87 (87) 5 (4)
22ミミズハゼ属 -2
23ウキゴリ属 -4 (4)
24ゴクラクハゼ5 (3) 28 (23) 17 (9) 16 (9) 11 (6) 12 (2)
25シマヨシノボリ1 1 (1)
26ヌマチチブ3 26 3 6
2728チチブ1
ハゼ科 -22 (2) 6 (6) 53 (12) 13 (1) 19 (19) 61
フグクサフグ1
29エビカニ貝類アマオブネガイイシマキガイ1 5 2 3 27
30リンゴガイスクミリンゴガイ2
31イガイコウロエンカワヒバリガイ2
32イシガイドブガイ2
33シジミシジミ属 -2
34ヌマエビミゾレヌマエビミナミヌマエビ回 淡 1 1 7 51
35
36テナガエビミナミテナガエビ16 3 6
37ヒラテテナガエビ16 3
38テナガエビ4 3 (2)
3940スジエビ5 (1) 1 1
テナガエビ科 -6 3 3 14
イワガニクロベンケイガニモクズガニケフサイソガニ海 回 海 1 29 (18) 1 4 (1) 2 (1) 27 (19) 1
41
42
合計個体数52 (23) 210 (91) 237 (89) 46 (22) 590 (258) 155 (30)
合計種数4 5 11 (9) 27 (9) 18 (9) 10 (8) 21 (6) 13 (6)

(注1)生活型 淡:淡水魚、海:汽水・海水魚、回:回遊魚、-:生態が詳しく解明されていない種や上位の分類群(注2)( )内は、箱型トラップ及び目視により遡上が確認された魚介類の個体数(注3)種まで同定できなかったものについては、同科または同属で種まで確認されたものがいない場合、1種として計上(注4)網掛けは、回遊魚であることを示す