※グラフ内の数字は個体数

28




43
47






6


87
38





―平成 20年度―

■紀の川大堰関連魚道調査・速報(4月)

1.調査実施内容

表 1 調査実施内容

左岸
右岸
調査実施日 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道人工河川式魚道 階段式魚道 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道 人工河川式魚道 階段式魚道
平成 20年 4月 25日


平成 20年 4月 26日


注)調査時間は7:00~21:00である。

2.調査方法
●遡上魚調査 魚道の出口付近(上流端)に箱型トラップを設置して、遡上魚を捕獲し、魚種や遡上数を把握した。 なお、調査にあたっては、遡上を完全に妨げないように魚道の 1/3を開放し、目視調査によって遡上数の補正を行った。また、捕獲した個体は、調査後速やかに放流した。
●魚道周辺の魚介類調査 投網・タモ網・カニカゴを用いて、魚道入口および中間付近にみられる魚介類の把握を行った。

3.調査結果 確認された魚介類の個体数および種数について、各魚道の内訳を表 2に、一覧を表 3に示す。

●魚道周辺で確認された魚介類は合計 16科 30種で、うち遡上した魚介類は合計 6科 11種であった。
●遡上が確認された魚介類は 297個体で、そのうち最も多く遡上したアユは 249個体と、全体の約84%を占めた。
●アユの遡上は、左岸側で 158個体、右岸側で 91個体であった。また、左岸側では階段式魚道での遡上が最も多かったが、右岸側ではデニールボックス付バーチカルスロット式魚道での遡上が最も多くなっていた。(図 1参照)
●重要種としては、ウナギ(環境省:情報不足)、メダカ(環境省:絶滅危惧Ⅱ類、和歌山県:準絶滅危惧)、モノアラガイ(環境省:準絶滅危惧)、ヤマトシジミ(環境省:準絶滅危惧)の計 4種が確認された。
●外来種はオオクチバス(ブラックバス)、コウロエンカワヒバリガイの計 2種が確認された。
●確認されたオオクチバス(ブラックバス)1個体の食性調査を任意で行った。結果、空胃であり、魚介類の捕食状況は確認できなかった。
表 2 各魚道にて確認された魚介類の個体数および種数


左岸

右岸
デニールボックス付バーチカルスロット式魚道 人工河川式魚道 階段式魚道 デニールボックス付バーチカルスロット式魚道人工河川式魚道 階段式魚道
個体数 41(35) 243(61) 137(89) 72(53) 180(20) 199(39)
種数 10(6) 16(4) 11(1) 9(6) 24(6) 12(2)

注)( )内は、箱型トラップおよび目視により遡上が確認された魚介類の個体数


100%


80%

60%


40%

20%

0%
  左岸          右岸
図 1  各魚道・左右岸別のアユ遡上数


4.各魚道の状況












表3 魚道およびその周辺で確認された魚介類の一覧(4月)
区分科名種名生活型重要種外来種
左岸

右岸
デニールボックス付バーチカルスロット式人工河川式魚道階段式魚道デニールボックス付バーチカルスロット式人工河川式魚道階段式魚道







魚道

魚道

1魚類ウナギウナギ


1
1 1
2コイコイ

1 (1)

1 (1) 2 1 (1)
3ギンブナ

1 (1)

2 (2) 1 (1)
4オイカワ


3

1
-オイカワ属





4
5モツゴ





2 (1)
6タモロコ




1 (1)

7ニゴイ属

1 (1) 2 (1)



8コウライモロコ

3 (3)

1 (1)
2
-スゴモロコ属






1
9ドジョウドジョウ





1
10アユアユ

28 (28) 69 (43) 90 (87) 48 (47) 6 (6) 40 (38)
11メダカメダカ




9
12サンフィッシュオオクチバス(ブラックバス)



1 (1)

13ボラボラ科



1
1 29
14ハゼカワアナゴ属


1



15ゴクラクハゼ

2 5 24 1 3 2
16シマヨシノボリ

2 (1) 50 (1) 3
2
-ヨシノボリ属 -





1 (1)
17ヌマチチブ


11 2
2 10
-不明不明 -


1 (1) 2 (2)


18エビカニ貝類アマオブネガイイシマキガイ

1 10 1 15 40 81
19モノアラガイモノアラガイ

29



20イガイコウロエンカワヒバリガイ



3
21イシガイドブガイ





1
22シジミヤマトシジミ

2

6
23ヌマエビミゾレヌマエビ


2 1
4
24ミナミヌマエビ


1

11
-ヌマエビ科 -





34 4
25テナガエビヒラテテナガエビ


7

14 (1)
26テナガエビ


2 4 2 8 10
27スジエビ

1 13 7
2 6
28イワガニクロベンケイガニ





1
29モクズガニ

1 35 (15) 1
19 (10) 12
30タイワンヒライソモドキ





1

合計個体数
41 (35) 243 (61) 137 (89) 72 (53) 180 (20) 199 (39)

合計種数
4 2 10 (6) 16 (4) 11 (1) 9 (6) 24 (6) 12 (2)

(注1)生活型 淡:淡水魚、海:汽水・海水魚、回:回遊魚、-:生態が詳しく解明されていない種や上位の分類群(注2)( )内は、箱型トラップ及び目視により遡上が確認された魚介類の個体数(注3)種まで同定できなかったものについては、同科または同属で種まで確認されたものがいない場合、1種として計上(注4)網掛けは、回遊魚であることを示す